修学旅行クラス研修

 研修を終えて学校に戻る。すると、生徒が書いた日誌が机に載っていた。今日は修学旅行委員の一人が書いてくれ、その中に、私が頼んでおいたクラス別研修の話し合いの結果を報告してくれていた。
 実は私は、クラスで京都御所に行きたいと思っていたのだ。それで委員を呼んでそのことを私からの提案として、クラスで検討してくれるよう頼んでおいた。京都御所はぜひ一度は訪れておきたいスポットである。現在の京都御所平安時代のそれではないが、それでも源氏物語の世界や大鏡の世界などを彷彿とさせられるような、とても見所のある箇所である。ただ、そうした文学的・歴史的知識を持たないで訪れたならば、単なる昔の建築という感想しか持たないだろう。3年前に卒業生たちと修学旅行に行った際には、私は京都御所に行くことができた。その際は、「おおっ、ここが清涼殿か。」とか「殿上の間は意外と狭いなぁ。」とか「ここが滝口かぁ。」とか、一人で興奮しまくっていた。そんな体験のほんの少しでも味わわせたいと思い、今年の古典の授業では、源氏物語を扱うのを早めて、7月から読めるようにした。これで少しは生徒たちにイメージが持たせられるかなと思う。それで、クラスで京都御所へ行きたいと考え、提案したのだ。
 まあ、結果としては、生徒たちは八つ橋作りの体験学習を選んだようだ。どうやら我がクラスは、いろいろなところを見て回りたい!というよりは、京都を実感したい!という方向にシフトしたようだね。残念だが、ここは生徒たちの選択を尊重したい。何しろこれは彼らの旅なのだ。彼らの自主性が最大限に発揮されるべき場である。確かに生徒たちは京都や奈良について知らないだろう。よって、どこへ行けばいいものが見られるのか、本当には分かっていないと思う。それであっても、彼らが選んだことは尊重したい。その結果、つまらない旅になったとしても、それは彼らの責任である。
 でも、生徒の計画によれば、奈良の興福寺へ行ったり、平等院鳳凰堂を見たりするので、これはこれでOKである。前回のクラス別研修ではこちらへは行けなかったからね。さらに今回は、銀閣寺や東寺へ行く。楽しみではないか。八つ橋作りは前の旅行でも体験したので、ちょっとつまらないけれどね。いやいや、私が旅をするのではない。私は彼らの旅の「お供」である。