故事「江南橘為江北枳」の授業

 7組と6組での授業。7組はようやく内容に入るところ。6組は口語訳が3分の2ほどすんでいたので、さくさくと訳を終える。
 どちらもグループでの音読タイムレースを行う。3人から4人のグループを組ませ、さらにそれらの2人が声を合わせて音読する。その際、①+② → ②+③ → ③+④ → ④+①の順番で次々に1文ずつ読んでいくのだ。慣れとグループ内で気持ちを合わせることが必要だが、2つのクラスともよく声をそろえて読んでいた。特に6組の伸長が著しい。どのグループも楽々と読みを終え、その後の全員による一斉音読はすらすらと非常に速いスピードで読んでもついてくる。大したものだ。7組の方はもう少し練習が必要だな。そして、一斉音読のスピードが遅い。思い切りが足りないなぁ。
 さて、口語訳と解説である。この話は晏子が荊王からかけられた言いがかりにどう反駁するかが要である。江南の橘が江北に植え替えられたら枳となった、という例え話をひいて、斉国で善人であった者は荊国では悪人になってしまう。それは土地柄がそうさせているのだ、と切り返すのである。
 その説明には次のようにした。

  1. 橘が枳になった部分の「其土地使之然也。」という使役形に着目させる。
  2. この文の「之」と「然」がそれぞれ「有用な橘」「無用な枳」を指すことを確認する。
  3. 斉国の善人が荊国では悪人となる部分の「得無土地使之然乎。」という反語形に着目させる。
  4. この文の使役形「土地使之然乎。」が先の使役形と同じかたちをしていることに着目させる。
  5. この文における「之」と「然」がそれぞれ「善人である斉人」「悪人となった斉人」を指すことを確認させる。

 この手順により、晏子の論法を確認させた。お恥ずかしながら、この説明法は授業中に口語訳をさせていてふと気づいたのである。でも、同じ形が使われていることから、「之」と「然」の関連性が分かりやすくなったのではないだろうか。
 授業はこのように、その場でさっと道が開ける時がある。まあ授業している本人は面白いと思っているのだけれど、聞いている生徒はその面白さには気づかない。これではダメか。