伊勢物語の授業

 6組と7組での授業。この2つのクラスは文系クラスであり、進度もほぼ同じだ。今日はどちらも「あづさ弓」のクライマックスの部分を訳し進めていく。
 男の「わがせしがごと うるはしみせよ」という歌に示される男の覚悟、それに対し「昔より 心は君に よりにしものを」と追いすがる女。このふたりの掛け合い、すれ違いが面白いところだ。さらに、男が帰ってしまったわけ。さらに女が男を追って行き、清水の近くで倒れ伏して、指の血で書き付けた絶唱、「わが身は今ぞ 消え果てぬめる」の思い。もう、男と女の二人の思いが交錯する名シーンの連続である。これらを、丁寧に訳し、和歌で二人の気持ちを確認しながら、物語の展開を味わっていく。なかなか面白い作業である。
 生徒も良く反応してくれて、口語訳はほぼ問題ないし、二人の気持ちについての質問にも良く答えてくれる。これはやはり、物語の持つ力だろうね。納得させられていく力がある。
 一方では、血を流して歌を書き付け、その後で死んでいくというのは壮絶でもある。都人からしたら、これはおぞましきものでもあろう。そうしたところも理解させたいものだ。
 どちらのクラスとも、最後の詰めの部分が終わりきらなかった。来週のお楽しみ、である。