ゼミ研究のテーマは「問い」の形にしよう

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 今日の2年生ゼミは各グループの研究をプレゼン資料にまとめる際の注意事項や資料の見本などを紹介した。その際、今年は表題の通り「テーマを『問い』の形にしよう」と指示した。「なぜ〜なのか」「〜の問題点」などの形にするようにさせたのだ。その方がおそらく自分たちのテーマについて深く考えるきっかけとなると思う。

 ゼミ研究のテーマといえば、いわば「リサーチ・クエスチョン」である。大学院の博士課程に通っていた頃、指導教官から教わった大切なことの1つに、「リサーチ・クエスチョン」と「結論」とが一直線につながっているのが良い論文である、というものがある。これは私にとって実に有益な教えだった。文献を読む際にもこの教えは、その論文の良し悪しを判断する手立てになったし、他の論文を査読する際にもこれは重要な基準となった。そして何より、自分が論文を書く際に、このことをまず第一に考えるようになった。人間は文章をどんどん書いているうちに、はじめに設定したはずのリサーチ・クエスチョンとは違う結論を書いてしまいがちである。しかし、本人は頭の中ではつながっているものだから、そのねじ曲がりに気づかない。結局、何を言わんとする論文なのか、とても分かりにくくなるのだ。私自身、十分に気をつけずに書く文章は得てしてそうした傾向を持つものとなる。だからこそ、この教えは私にとってとても重要な基準となっている。

 今回、学生に取り組ませるゼミ研究も、まさに自分たちでリサーチ・クエスチョンを立て、それの答えを探すというものである。その、自分たちは問いに答えようとしているのだ、という姿勢を自覚させるために、研究テーマを「問い」の形にするように、としてみたのだ。今まで、学生が設定するテーマの表現は「〜について」というものがとても多い。しかし、これでは実は、自分が何を問おうとしているのか、何を調べるべきなのか、どうまとめ、どう回答すべきなのかが分かりにくくなる。これは改めるべきだな、と考えた。

 大学院の師の教えは私の心にがっしり残っているのに、それを学生のゼミ研究への指導に応用することに、6年目にしてようやく気がつくとはね。ずいぶん迂遠な話である。

 今日のゼミでは、上記の指示の後、卒業アルバム用の写真撮影のために海岸に行った。本学は歩いて数分で海岸に出ることができる。少し曇っていたが、穏やかな良い天気だった。ある外国人の男性が話しかけてきて、この場所では泳げるのかと聞かれたので、少し深い箇所はあるが大丈夫だろう、と答えた。彼は学生たちが写真撮影をしている先で颯爽とパンツ姿になり、海に入っていった。なかなか格好いいものである。