リレー物語が大好評

 前期はライティング・ワークショップを2箇所で実践している。非常勤で教えている新潟中央短大での国語表現法と、本学の通年の授業である教養I(国語)において、である。中央短大の方は90分、本学の方は45分授業というように形態の違いがある。しかし、スタート当初は同様の内容を扱うことになる。もちろん、時間の差を埋めるべく工夫はしているけれどね。
 今週の授業は、2つとも「リレー物語」を行った。リレー物語とはすでにいくつか実践のあるもので、以下のように行う。

  1. 用紙を、8人で一筆書きの要領でグルグル回すよう、回し方の練習をしておく
  2. 用紙の最初の枠に、物語の出だしを書く
  3. 次の人に用紙を渡す
  4. 自分のところに回ってきた用紙に、前の人が書いた物語の続きを書く
  5. また次の人にその用紙を渡す
  6. これを次々に8回繰り返す
  7. 物語が完結したら、逆回転で用紙を戻し、自分が書き出した物語の完結を楽しむ

 用紙をリレーでのバトンのように次々と人に渡し、物語を書き継いでいくのである。最初に自分が書き出した物語が、次々と別の人が書き継いでいく中で、予想を超えて変容していくのが面白いものである。
 私は、この実践をPCのメールを使って行ったことがある。しかし、この際は物語は一応完成するものの、「物語の構造」を意識させなかったために、面白みの欠ける作品しかできなかった。そこで、今回の授業では、物語の構造を常に確認させながら書き継がせさせた。具体的には以下のとおりである。

 第1回 導入(1) 人物の登場
 第2回 導入(2) 人物の詳しい紹介
 第3回 展開(1) 第2の人物との出会い
 第4回 展開(2) 第2の人物の詳しい紹介
 第5回 山場(1) 事件の進展
 第6回 山場(2) 事件の核心へ
 第7回 クライマックス 人物たちの関係の決定
 第8回 終結   事件の終わり

 この構造を毎回意識させながら、物語を書き継がせ、リレーさせていった。
 8回まで書き終え、逆回転させて自分が書き出した物語の結末を読ませる。学生は、書き継いでいる最中から歓声を上げたり、意外性に感嘆したりと、声を上げていたのだが、いざ完成された物語を読むと、その歓声はもう頂点に達する。これは中央短大だろうと本学だろうと、まったく同じ反応である。中央短大の場合は2回戦を行ったが、本学は1回戦で終わり。
 いやぁ、学生は乗ってくれるだろうと予想はしていたが、予想通りの反応を示してくれてよかった。学生は楽しんでくれたようだ。このリレー物語を機に、創作における物語の構造の重要さを理解し、創作への意欲を持ってもらいたいものだ。