『算数・数学はアートだ!』読書メモ

算数・数学はアートだ!: ワクワクする問題を子どもたちに

算数・数学はアートだ!: ワクワクする問題を子どもたちに

 この本を、少々時間をかけてじっくり読んでいます(というか、仕事の合間に少しずつ読んでいる)。随所に皮肉めいた表現が光るのだが、それが実にツボにはまって心地よい。そして、その度に「これは数学科だけの問題じゃないよな〜。国語科も同じだ」と思い、そうすると底知れぬ身震いに襲われる。これは、大問題を提供する本ですよ。算数・数学科の関係者はもちろんのこと、実際に教壇に立つ教員が教科を超えて読むべきだと思う。
 これまで読んだ箇所から、傍線を引いたところの一部を紹介します。

  • 数学は理性の音楽です。「数学をする」ということは、?発見と予想、直感とひらめきなどの行為をすることであり、?(まったく何が何だか分からないからではなくて、あなた自身が意味を与えたにもかかわらず、最終的に何をつくり出すのかまだ分かっていないので)混乱のなかに身を置くことであり、?画期的な考えを思いついたり、?アーティストとしてくじけたり、挫折したり、失望したり、?痛々しいほどの美しさに畏敬の念を起こさせたり、圧倒されたり、そして?生き生きと意味のある形で学べること、です。p40
  • 人はファンタジー(空想)を楽しみます。それこそが、数学の提供できることなのです。日々の生活における気晴らしなのです。そして、日々の現実的な暮らしに対する鎮痛剤なのです。p42
  • 数学の方法は、ほかのいかなるアートと同じように、コンテキスト(状況)のなかで学ばれるべきです。よい問題には、その背景となる歴史、そして創造的なプロセスがあります。あなたの生徒たちによい問題を提供してください。そして、もがき、欲求不満も味あわせてあげてください。そして、何を考え出すのかを見るのです。生徒たちがヒントを求めるまで待ちます。そうしたら、方法を紹介します。ただし、全部ではなく一部だけです。指導案も、OHPも、教科書もしまって、単純に生徒たちと一緒に算数・数学をしてみてください。美術の教師たちは、教科書や特定の方法を意味もなく覚えることに無駄な時間は割きません。彼女たちは、教科にとってベストな方法を選んでいます。つまり、子どもたちに描かせるという方法です。イーゼルからイーゼルの間を歩き回って、最低限の、必要とされるアドバイスや指導をしているだけです。pp47〜48
  • 教えることは、情報の伝達ではありません。それは、自分の生徒たちと、誠実で理性的な関係を持つことです。それには、方法も、ツールも、トレーニングも必要ありません。ただ誠実であることだけが求められます。もし、誠実になれないなら、素朴な子どもたちに何かをさせるような権利はないということです。(中略)教えるということは、心が開かれており、正直であること、そして興奮や向学心を共有できることを意味します。これらがなかったならば、世界中の教育の学位をもっていても何の意味もないでしょう。逆に、誠実な姿勢があるのなら学位は必要ないでしょう。pp53〜54
  • そのなかでもっとも大切なことは、数学はアートで、人類の楽しみのために存在するということです。そして、もちろん、数字や図形についての基本的なことを知っていたらなおいいでしょうね。でも、それが、丸暗記やドリル、そして一方的な講義や繰り返しの結果であってはまずいのです。子どもたちは、行うことを通して学び、そして自らにとって意味のあることを記憶するのですから。p59

 うーーーん、何て刺激的! 続きは後日に。