『ギヴァー』第7章〜第12章への反応

 先週の19日(水)に『ギヴァー』のRWの授業を行いました。私は授業の終わりに毎回ふりかえりを書かせています。そして、そのふりかえりからの抜粋を授業の初めに学生に配布し、友人たちが先週の授業で何を感じ、何を学んだのかを知るようにしています。
 先週は『ギヴァー』の第7章〜第12章を範囲としてブッククラブを行わせました。ストーリーはいよいよ佳境に入ってきます。ジョナスが「レシーヴァー」に任命され、先代のレシーヴァー=「ギヴァー」から雪の記憶などを受け取る場面が出てきます。「〈同一化〉」や「天候制御」などの言葉が出てきて、このコミュニティの異常さがいよいよ明らかになってきます。
 学生たちは特に、リンゴに起こった「変化」、すなわち「赤」という色の認識という点について強く反応したようです。以下に、ふりかえりの抜粋で、『ギヴァー』について言及している箇所を載せます。

  • やっぱり一番話題になったのはリンゴでした。また、目の色が明るい色の人がレシーバーになるのではないかという話が出ました。ゲイブリエルは明るい目をしているが、12歳になるときジョナスはまだ24歳なので明るい目をしていたとしてもレシーバーにはならないのだろうという結果になりました。/ リンゴの色でもともとこの世界は白黒のような色彩がないのか、色彩はあるがみんな認識していないのかという意見があり、私も同じことが気になっていたので嬉しかったです。
  • 共有の時間では、「色」についての話題が多かったです。物語の中では雪を知らないですが、食べ物などを食べるときなどのように感じてるのだろうと思いました。メンバーの中で共感できる部分が多くて楽しかったです。
  • 今回はジョナスたちは色を知っているのかということに疑問を持ちました。「赤」という色を知っていなかったし、最後に「虹の記憶を与えよう」と書かれていたので、色のない世界で生きているのだと私は思いました。/ みんな今回は色について疑問を持っていたので、同じ話題を共有できて良かったです。私があまり深く考えていないところもみんなからいろいろ聞くことができたのでとても考えさせられました。
  • ギヴァーの中の世界観はとても不思議だからこそ、読んでいて一人一人感じることや考えることがたくさんあると改めて思いました。今日は実習の人がいて少ない人数の中での話し合いでより他の人の意見を詳しく聞けました。/ 前に出ていた人で、話し合っていることをメモしたりしている人がいて、すごいと思いました。また新たな疑問が出てきたので、読むのが楽しみです。
  • 今日のグループに4人のグループで1人が1つ疑問に思ったことや自分の考えを伝えると、他の3人がそれについて自分の考えを言い、1人では思いつかなかった考えを知ることができました。話し合いをすると、余計に今後の展開が気になります。早くこの先も読んでみたいです。/ グループ内でまとまった考えを言い合ってみると気づいたこと、気づかなかったことの共有ができ面白かったです。今回の7〜12章だけでなく前回の章の内容も含めて考えていたのでとても参考になりました。
  • 私は今回の章を読んで、「前回のレシーヴァーは失敗した」「前回は辛いものからはじめたから」とあったのですが、それは平和なコミュニティから排除されている「戦争」「人殺し」などそういった悲しみ記憶のことなのではと思います。/ 前回の共有時より、みんなの間の謎が多かったです。これから、読み進めていくのがまた楽しみです。また次回もみんなで楽しく本について語らいたいです。
  • 今日は実習でいなかった子もいたけど、前よりも充実した話し合いになった気がします。一人一人の意見も聞けたし、共感する部分も多くありました。次回も実習で人数が少なくなるけど良い話し合いをしたいです。/ みんなも同じところを疑問に思っていたとわかることができてよかったです。私たちのグループでは出なかった意見を聞けて良かったです。
  • 先週よりも、話し合いが活発で、さらに楽しかったです。このコミュニティの人たちはどのように作られたのだろう、どの時代を境に色がなくなってしまったのだろうと、たくさんの話が出ました。/ 大きなグループの中で、2つに分かれているので、もう1つのグループの話を聞くのがすごく面白かったです。太陽の光がなくてどうして植物が育つのかという話は私もとても不思議でした。
  • 第2回目、7〜12章までで、ついにギヴァーとなったジョナスですが、記憶を受け継ぐとき、記憶を体感として受け継ぐ、追体験のように行っていて、日焼けでも痛みを感じていたようなので病気や戦争、人殺しなどの記憶をもし受け継ぐことになったとしたら…と考えると、“今まで味わったことのない痛み”の意味が分かるような気がしました。/ ジョナスが“赤”という色識を認識したことから、このコミュニティには世界はモノクロに映っているのか、という話になり、モノクロの世界のことや、天気制御されていると食べ物はどうなのかなど考えていたので、そこまで深く考えてめぐらせているのはすごいと思った。

 「/」の前は『ギヴァー』について小グループで話し合った内容について、「/」の後は共有の時間で中グループで共有し合った結果について書かせたものです。
 いかに彼らが「色」について反応しているかということが分かります。それは、そのことを自分たちが想像することが難しいことの表れでもあるでしょう。しかし、ブッククラブでは、こうした一人では難しいこともみんなで話し合うことで深く考えることができるのだなと思いました。誰もが不思議に思うこと、しかしすぐに答えの見いだせないこと、それをみんなで話し合うことの良さを強く感じます。そして、それは話し合う者たちの思考力を鍛え、促すのだなと思いました。
 また、今回は一部の学生が実習に行っているため、前々回よりも少人数のグループで話し合ったものが多いようです。そして、その方が話し合いが濃くなる様子もうかがえます。普段、彼らは5,6人で話し合いをしています。それではやはり多すぎるのだなと思います。3,4人くらい(最大4人)が良いスケールなのではないでしょうか。
 学生の反応を見ていると、いろいろのことを気づかせてくれます。毎回、楽しみな授業です。