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「考えられている」と「We think」

 我が三男の最近のお気に入りは「恐竜の動画」です。彼はYouTubeで公開されている恐竜の動画を見ることが大好きです。彼のお気に入りはティラノサウルス。私や妻のiPhoneiPadを借り出しては、自分でYoutubeの映像を選び出し、食い入るように動画を見ています。ちょっと心配……。(-_-;)
 今朝も幼稚園に行くまでの時間で、彼が私のiPadで動画を見ていたのですが、ある動画の日本語の解説では「〜と考えられています。」というフレーズを使っていました。「ティラノサウルスは群れで狩りを行っていたと考えられています。」というような使い方ですね。いつもはあまり疑問を持たなかったのですが、次に彼が見た動画は英語の解説音声のものでした。それをそばで聞いていて、ふと、そのように聞こえたのか、それとも私が勝手に考えついたのか、「We think 〜」と言っていたように思えたのです。なるほど、英語なら「We think 〜」と表現するだろうな〜、と思った途端、日本語の「〜と考えられている」という表現の胡散臭さに思い当たりました。
 すぐに気づくとおり、「〜と考えられている」という表現には主語を想定できません。そうすると、そこにはそう考える人の責任がはっきりしません。それでいて、何となく一般的に認められているというニュアンスを醸し出すことができ、そのために、その「考えられている」ことが何となく真実であるような印象を与えます。これはまずいのではないでしょうか。
 学術論文でもしこのような表現を使ってしまったら、その論文は間違いなく査読を通りません。それどころか、学術論文の作法を知らない初心なお方、ということで「ふふっ」と冷笑されることでしょう(ちょっと査読への偏見が入ってる?)。論文においては、その記述の責任の所在は常に明らかにしなければなりません。その主張は誰のものなのか、著者のものなのか、それとも引用なのか。それをはっきりさせることがともかくも求められます。
 確かに、たかがYouTubeでの動画の解説文ですので、学術論文の基準を要求するのはお門違いでしょう。しかし、この映像は極めて「科学的」な雰囲気で制作されています。そして、ナレーションの中にしょっちゅう「最近の研究によると〜」というフレーズが織り込まれるのです。そうすると、これらの映像の内容は科学的な根拠に支えられた事実・真実である、という印象をどうしても与えます。それなのに、「〜だと考えられています。」と言うことで責任の所在を曖昧にしてしまうのはどうなのかなぁ、と思うのです。
 映像では恐竜たちが「ウォー」とか「ガォー」とか吠えています。しかし、この吠え声は単なる「想像の産物」のはずです。恐竜(と考えられているもの)の声帯の構造が分かっているはずがありません。また、映像での恐竜の皮膚の色も全ては「想像」であると、以前に読んだことがあります。いかにも本物らしきものが画面の向こうで跋扈跳梁していますが、それらはあくまでも「想像」のものなのだ、ということをはっきりさせるべきだと思います。我が三男は、おそらくはその映像を「本物だ」と思っているでしょうから。
 話はメディアリテラシーの問題にも発展しそうですね。こうした映像は分かりやすくて確かに説得力はあります。しかし、どこまでが制作者の想像で、どこまでが事実として分かっていることなのか、それを峻別する目を視聴者である我々は持っているべきでしょう。そして、それを子どもたちに持たせるには、やはり教育の現場しかないでしょう。

個人的には夏期休業最終日

 明日から1泊2日の予定でゼミ旅行に出掛けます。行き先は長野県の黒姫高原。そこにある黒姫童話館を訪れるのが主目的です。いわさきちひろの山荘もあり、なかなか期待できそうです。しかし、このところ不順な天候が続いているため、天気や気温が心配です。2日間、何事もなく楽しく過ごせたらな、と思います。
 今年のゼミ旅行は、このように夏期休業の最後の最後に計画しました。主に私の都合によるのですが、夏期休業中であるせいか学生たちの準備は滞りまくりました。これまでに2年間、2回のゼミ旅行を実施してきましたが、これほどに学生たちの動きが鈍かったのは初めてです。まあ、仕方がない面も大いにあります。学生たちは何しろ夏期休業中は忙しいのです。正規の実習は2週間入りますし、学生自身が計画する自主実習も入ります。休業中に集まって相談をする機会を確保することがそもそも難しいのです。そして、夏期休業に入る直前は前期の試験のため、これまた相談ができません。うーん、失敗したなぁ、と思いました。
 思えば、これまでの2回のゼミ旅行は全て11月に実施しました。これならば、学生たちは夏期休業が終わってから計画を進めても何とか間に合います。そして、学生たち自身が動き、宿や交通機関の確保、行程や携行品の周知徹底など、全部学生たちがやってきました。私は時々に意見するだけで済んできました。短大生のゼミ旅行はそうでなくてはなりません。しかし、今年は日程をこの時期にしたために、学生たちの準備活動を奪ってしまう結果になりました。しまったなぁ〜。
 ともあれ、直前には彼らはいろいろと相談して、旅行の形を整えてくれました。そのバイタリティに期待して、明日から行ってきます。というわけで、実質的に私にとって今日が夏期休業最終日となります。振り返ってみると……、今年も不満の残る約2ヶ月でしたね。自分の怠惰心を押さえつけるのは本当に困難です。何とかせねば…。