読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

全国大学国語教育学会兵庫大会で発表してきた

 5月30日(土)、31日(日)と全国大学国語教育学会兵庫大会が姫路市で行われた。私はこの2日目に発表してきた。昨年秋以来のこの学会での発表だが、やはり発表は楽しいな、と思わせられた。姫路までの道のりは遠かったけれどね。
 私が行った発表は、「短期大学におけるライティング・ワークショップの実践と評価」というタイトルのものである。これは、昨年度の後期の授業で行ったライティング・ワークショップの実践についての報告の最終版である。この授業については既に昨年度の新潟大学教育学部国語国文学会でも発表したし、『新潟青陵大学短期大学部 研究報告第45号』には論文として発表した。しかし、これらで行った質問紙調査は3回行った調査のうち、事前と中間の2つのデータを用いたものだった。これらの発表や論文を執筆した時点では、まだ事後に行う質問紙調査を終えていない段階だったからだ。そして、事前と中間の調査データを用いて分析した結果は、「書く」と「読む」では満足のいく結果が出たものの、「話す」では効果の認められないものだった。だが、授業の事後に行った質問紙調査によるデータを用いて分析し直したところ、この「話す」分野でも十分な効果が認められたのだ。そこで、この新たな分析結果を基に授業の評価をやり直したものが、今回の兵庫大会で発表したものである。
 事前と中間の調査データでの結果と、事後も含めた3つの調査データとの違いは何か。それは、発表会の経験の有無である。この授業では学生に作品を製作させるが、それを同じ学生たちの前で発表する発表会を15回の授業の終わりに設けている。中間調査はこの発表会を行う直前で回収したデータであり、事後調査はこの発表会が終わった直後に回収したデータである。したがって、2つの分析結果の違いは発表会という経験の有無による違いと考えられる。そして、この経験の有無による調査結果の差は歴然としていた。そこで、これは新たに場を設けて発表する価値のあるものだと思ったので、今回の学会で発表したというわけである。
 考えてみれば、発表会という経験は学生の「話す」スキルに対する自己評価を大きく左右する要因となり得るだろう。何しろ40名以上の学生、もしくは130名の学生を前にして、ブックトークやら紙芝居やらを演じたり、テーマを設けてインタビューしてきた内容をプレゼンするのである。学生たちの「話す」スキルが大いに活用されたに違いない。また、調査結果を見ると、単に発表会で用いたであろうスキルだけではなく、発表会の経験とは直接に関わらないスキルについても学生の自己評価は上昇している。発表会という経験が「話す」スキル全般に対する態度の向上を促進していると考えられるのである。私としては、これは小さいながらも発見であった。
 この発表を持って、昨年度の後期に行ったライティング・ワークショップの授業についての報告は完了した。1つの形にまとめ上げられなかったのは残念だが、前記の『研究報告』と今回の大会の「発表要旨集」及び大会当日配付資料を統合していただくと、その全容がわかることになる。うーむ、我ながらわかりにくい報告になってしまったな。
 今年度の後期には、このライティング・ワークショップの授業をさらにブラッシュアップし、また調査方法もより客観的なものにして、ヴァージョン2として実践する予定である。この実践は何とか一つの形でまとめ上げたい。
 ともあれ、きれいな姿を現していた姫路城を目前にしていながら、そこを訪れることもできずに、足早に発表して帰ってきた2日間であった。