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オピニオン・ペーパーによる意見交流の授業

 短大の授業も2週目を迎えている。学生も新しい授業や時間割に次第に馴染んできて、落ち着きが出てきた。ただ、私の言葉指導法IIは、当初に確保した教室に対して受講者数が多すぎて、余裕をもった授業運営ができそうになかった。そこで、教室の変更をお願いしていた。今日は、その変更後の授業の最初になる。先週使った教室とは打って変わって、これから使う教室は縦に長く、空間に十分な余裕がある。私の授業では、学生たちが立ち上がって席を移動しながら互いに交流する場面が多くあるので、十分な空間的余裕が必要になる。その要請には十分応えてくれる教室である。
 さて、その第2回目の授業は「事例から学ぶ」と題して実施した。実際の幼児同士、あるいは幼児と保育者との関わりの場面を文章にした事例を用い、これらの事例における保育者の言葉掛けの意図や適切さについて、学生に考察させるものである。この学生による考察に際して、「オピニオン・ペーパー」なるものを用いた。
 この「オピニオン・ペーパー」とは、各事例における保育者の言葉掛けや行動に対して、学生各自の意見を書くものである。このペーパーの使い方に少々工夫をしている。

  1. 学生が事例に対する自分の意見を文章でオピニオン・ペーパーに記入する
  2. このペーパーを「名刺」に見立てて、学生同士で「名刺交換」の要領で互いのペーパーを交換させる(いわば「名刺交換会」である)
  3. 交換したペーパーの意見を読んでコメントを色ペンで記入してもらい、相手のサインをもらう
  4. この「名刺交換」を制限時間内(13分間)に5人以上に対して行う
  5. 終了後、いただいたコメントを読んで考察を深める

単に事例に対する感想を交換させるだけではなく、ペーパーが「名刺」である、すなわち自分自身を代表したものであることを意識付けさせ、責任のある意見交換をさせようというねらいがある。また、「5人以上」のサインをもらうことにもこだわっている。2、3人では自分の席の周囲にいる、いつも話をする友人同士との交換で終わってしまう。しかし、5人以上の交換をするとなると、普段あまり話をしない級友にも話しかけなければならない。これが、様々な意見に触れることができる効果を上げる。
 でも、実際にこれを行うと、学生は互いに随分打ち解け合い、楽しみながら「名刺交換」をし始める。そして、この意見交流をとても楽しんでくれる。「大福帳」を書かせて、学生のリフレクションを回収しているのだが、その中にも「様々な人の多様な意見に触れることができて楽しかった」という感想を書いてくれる者が何人もいる。この「オピニオン・ペーパー」は、昨年のこの授業中に思いついたものだが、シンプルながら意外に効果の上がる方法のようである。
 これから考えると、学生は(もちろん小学生から高校生に至るまでも)他者の意見に本当に触れたがっているのだなぁ、と実感する。同年代の友人はどのように考えているか、どんな感想を持ったのか、そのことにとても関心が高い。授業という、せっかく大勢の人が一堂に会して同じ時間を過ごす貴重な場において、学生同士の意見交流を楽しく行うことのできる手法が求められていると思う。