読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ジグソー学習法を試してみました

 私の担当している短大1年生の授業でジグソー学習法を試してみました。正式なものではないかもしれませんが、それでも様々な知見を得ることができました。
 授業は「言葉指導法I」というものです。0歳から5歳までの言葉の発達を踏まえて、幼児たちの言葉に関わる様々な場面でどう関わっていくべきか、具体的な事例を通して考えさせる内容を2回にわたり扱いました。具体的には、テキストを読んで、そこに示されている事例と対処法について学生たち自身でも考えて欲しいと思っていました。しかし、授業は2回分あったのですが、1回の授業で読み通さなければならないテキストの分量がかなりありました。これを、90分間の最初から最後までずっと一斉授業で扱っていたら、学生は途中でバタバタと討ち死にしてしまうでしょう。そこで、ジグソー学習法を試してみることにしました。
 私のとった手順は以下の通りです。

  1. 4〜6人のグループを組ませる(ベース・グループ)
  2. メンバー一人一人に次の担当を割り当てさせる
    1. 0歳児
    2. 1歳児
    3. 2歳児
    4. 3歳児
  3. 同年齢を担当する者同士で集まり、新たに4人前後のグループを作る(学習グループ)
  4. 学習グループで以下の作業をさせる
    1. テキストの該当部分を順番に音読する
    2. 重要と思われる箇所にアンダーラインを引く
    3. テキストの事例と対処法について自由に意見交換する
  5. ベース・グループに戻り、それぞれ学習してきたことを報告し合う
  6. 報告をもとにノートをとる
  7. 今日の学習全体の振り返りをする

 最初のクラスでは学習グループでの学習を30分間、ベース・グループでの報告会を20分間にしました。このクラスの振り返りを読んだところ、ジグソー学習法について概ね好意的な感想を書いていました。「自分たちで学習できるので、普段の授業よりも良い」「報告するときに真剣になった」「他の年齢についてのことを、メンバーがちゃんとまとめて話してくれるので、効率が良い」「自分が担当した年齢のことはよく理解できたが、他の年齢のことは不安が残るので、しっかり復習したい」などの感想を寄せてくれました。
 これはいける! と思い、2番目のクラスでもほぼ同様の形で実施しました。ところが、このクラスの振り返りを読んで、大きく感想が異なることに気づきました。「今までのやり方のほうがいい」「自分たちがアンダーラインを引いた箇所が本当に重要なのかどうか不安だ」「報告会で全てのメンバーの報告が終わらず、最後の3歳児の報告は途中になってしまった」「高いお金を出して買ったノートが無駄になっている」などなどの感想が目立ちました。もちろん、最初のクラスのように好意的な感想もあるのですが、3分の2くらいの感想は否定的なものでした。
 確かに、このクラスでの学習の様子は、最初のクラスとは違って停滞していました。話し合いがあまり進んでいないグループが目立ちました。30分間の時間の中で、テキストを音読し終わった後はずっと黙っている、という感じでした。なるほど、これでは不満足感が残るだろうなぁと私自身が振り返りました。
 このクラスの振り返りを読むことで、ジグソー学習法を成功させるにはある工夫が必要なのだと気付きました。

  1. 学習グループで話し合う時間を多少短くする
  2. その分、ベース・グループに戻っての報告会の時間を十分確保する
  3. ベース・グループでの報告会で、メンバー全員が報告できるように時間配分をサポートする
  4. 学習グループで話し合った内容を報告する際、報告する内容を絞り込ませる

 学生は、自分たちで時間配分を考えて報告会を運営することがまだできないのだ、と分かりました。また、報告する内容を絞り込むことも、すぐにはできないのだと気付きました。まあ、仕方のないことでしょう。こうした学習法は初めての経験なのですから。
 以上の反省を踏まえて、3番目のクラスでは上記で考えた工夫を実行してみました。すなわち、

  1. 学習グループでの学習を20分間にする
  2. ベース・グループでの報告会を40分間にする
  3. ベース・グループでの報告会の際、6分ごとにベルを鳴らしてペース配分の参考にさせる
  4. 報告は、自分たちが話し合ってきた中で、一番印象に残っていることだけで良いと伝える

 以上を実行した結果でしょうか、あるいはこの3番目のクラスはどの学習グループも非常に活発に話し合いをしていたからでしょうか、振り返りに書かれた感想はすこぶる好意的なものばかりでした。
 このジグソー学習法を経験して、学生に気づいてほしい点が明らかになりました。

  1. 学習とは人に言われてするものではなく、自分でするものであること
  2. 自分が重要だと思ったことこそが重要な箇所なのだと自信を持つこと
  3. 自分の学びの跡をノートにちゃんとまとめることが大切だと気づくこと

 学びは、教師から言われたことを取り入れるという受動的な学びのみではありません。自ら積極的に働きかけ、自分で重要なポイントを見つけ、それを相手に伝えようとする、そのような能動的な学びが大切です。たった2年後には幼児を相手にして奮闘しなければならない彼らだからこそ、学生たちにはまずこうした学びの姿勢を身につけてほしいと願っています。