30年間の高校教諭生活との別れ

 今日をもって30年間勤めてきた高等学校国語科教諭の職を離れる。明日からは私立短大の教員である。いつかはこんな時が来ることを夢見てきたが、いざその時を迎えると、やはり大きな感慨とこれまた大きな寂しさを感じる。
 今日は午前中に県庁に行き、辞令交付式に出席した。退職辞令と感謝状をもらってきた。式には見知った先生方が何人か出席していたし、受付の県教委の面々、また幹部職員たちの中にも見知った方がいる。それらの方々とも挨拶することができた。なかなかよい機会だった。久しぶりの県庁の中で道に迷って、式の開始ギリギリで間に合ったけれどね。定年退職をする方々を見て、本来はそのような形でこの場に来るはずだったのに、7年も早くここに来てしまったなぁ、と思う。寂しさは隠せない。
 その後、苦痛であったが次第に通い慣れて親しみも感じてきた電車に乗り、新発田高校に向かう。最後の残務整理をし、転職挨拶状を現任の同僚たちに配り、1年間使い続けたコンピュータから個人データやら個人アプリケーションやらを削除する。これらにけっこう時間がかかった。15時台の電車で帰ろうと思っていたが、結局16時台まで残って作業を続けた。1年間とはいえ、様々なデータを生産してきたのだね。
 同僚たちに挨拶をし、お世話になった校長先生を初めとする方々に挨拶をして、新発田高校を後にした。わずか1年間ではあったが、私にとってはよい職場だった。そして、高校教諭としての最後の時を迎えるのにふさわしい学校だった。ありがとう、新発田高校。
 16時36分発の白新線の電車に乗り、最後の通勤電車で帰ってきた。白山駅Suicaを解約し、これですべての作業が終わった。
 30年間の中で、本当に思い出すのは出会ってきた生徒たちの笑顔である。みんな、笑っている。小出高校、村上女子高校、新潟西高校、県立教育センター、新潟高校、そして新発田高校で出会った生徒たち。我が愛する君たち。君たちのおかげで私は今日まで歩み続けることができた。ただただ、ありがとう。
 明日からは短大の教員としての生活が始まる。また何が待っているのだろう。そして、どんな学生たちと出会うのだろう。人が人と出会う、その奇跡を楽しみにして、明日を迎えよう。