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本2冊を読了

遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)

遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)

 藤原正彦は、最近の発言にはちょっと気をつけるべき点があると思うが、この初期の頃の随筆は非常によい。解説で南木佳士が述べているように、この本と『若き数学者のアメリカ』は一級の随筆である。ただ、相変わらず愛国調は鼻につくけれど。
 ケンブリッジ大学に派遣留学した経験が描かれている。イギリスという国とその人々の様子がなかなか生々しく、それが臨場感を与えている。イギリスは一筋縄ではいかないな、と思わせる。それが大英帝国の記憶を持つ国なのだろう。
 古いものを大切にするお国柄であるが、これを読む限りでは、とても慕わしいものの、慣れない内はずいぶん不便だろうなぁ。特に冬の寒さやお風呂の貧弱さは辛そうだ。それでも、アメリカよりは落ち着きがありそうで、私は好きだ。
 いつか暮らしてみたいと個人的に思う国はイギリスなのだが、その実情を教えてくれて、興味深い。よい本だ。


認知心理学からみた読みの世界―対話と協同的学習をめざして

認知心理学からみた読みの世界―対話と協同的学習をめざして

 対話による相互交流の学習について学んでいると必ずと言っていいほど出会う本である。以前に図書館で借りて読み始めたのだが、何しろ書き込みができないので、結局読み終えなかった。今回はちゃんと手に入れて読んだ。
 前半の協同的学習の理論編が私には参考になった。対話の学習における重要性と理論的な背景についてよくまとめてある。レファレンスに使えそう。
 後半のごんぎつねの授業記録は、その手法になるほどと思うけれど、やはり不満も残る。詳細な分析はしかし、対局を捉え切れていないような気がしてならない。質的研究と量的研究の連関が望まれる。
 多くの宿題ももらった。ここからどんな展開ができるか、楽しみだ。