久しぶりに日記を再開しようか

 しばらくこの日記を書くのをやめていた。昨年4月から全く新しい環境に変わり、その環境に慣れるのが精一杯だったのが主な原因だ。今までとは違う生徒と学習環境の中で、自分自身がどのようにそれらと接したらよいのか、ずっと手探りの状態だった。まだ、それが解消し得たとは思えないけれど、1年がもう経とうとしているし、やはり、教師にとって日々の授業を記録すること自体に意義があることが、最近読んだ本からよく分かってきた。そこで、少しずつ、この日記を再開しようかと思う。お暇な方はまたお付き合いください。
 今は3年生の国公立前期試験対策の講座を1コマ担当している。現代文である。業者のテキストを使い、55分授業の中で問題を1つ解かせ、その解説をしている。しかし、単に私の解説をするのではない。せっかくの記述式問題の解答法を生徒に身につけて欲しい講座である。そこで、解答のいくつかを生徒に黒板に板書させ、それの添削をするという形で解説している。生徒はこれをどのように受け止めているか分からないけれど、単に私の解説のみにするよりも変化があって良いのではないかと思っている。
 今日は平成14年度の愛媛大学の問題、細見和之の「アイデンティティ/他者性」という評論である。記述式の設問は3題あるので、その2つを生徒に指名して、解答を板書させた。今回の設問はどれも傍線部や解答すべき内容に「対比関係」があるものである。そこで、生徒の解答を添削する際に、その対比関係を明確にするように解答を作る必要があることを強調し、その例を挙げて説明した。記述式問題を解答するには、「解答のパターン」というものがある。その解答のパターンを問題を解く前に意識することにより、解答すべきポイントが分かる。それが分かれば、本文のどこに注目すべきかも分かる。つまりは読解の方向性が定まるのだ。この「解答のパターン」を、問題文を読んで解答を作成する際に自分で意識付けできるかどうかが、記述式問題の解答の出来を決定する。つまり、解答についての「メタ認知」を持つということだ。
 最近読んだ下記の本には「メタ認知」の章があり、その育成法について提案されている。これは大事なことだ。国語の読解力はこの「メタ認知」を持てるかどうかに左右される場合が結構多い。今回の講座では、この「メタ認知」を育成する方法を大々的に試みることはできないが、今後の授業において、この本で示されている方法を取り入れた授業を展開することが必要だと思う。
 「メタ認知」育成を踏まえた国語科指導の授業案をしっかりと考えてみようかな。

認知心理学者 新しい学びを語る

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