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ありがとう、Kさん

 新潟高校に勤務する日もあとわずか2日となった。今年のカレンダーはなかなか恨めしい。3月は30日と31日が土日となり、平日は29日で終わってしまう。私は基本的に土日は集会があったりするので、学校に行くのは稀である。そもそも、この異動という事態になっては、荷物さえ片付いてしまえば土日に学校に行くことはない。よって、31日が3月の終わりであるのに、私は29日で実質的な勤務を終えるつもりである。9年間という、ルールによる限界以上に勤めたというのに、まだまだ新潟高校への愛着は消えることがない。それどころか、ますます強くなっていくばかりだ。そして、4月は1日から始まる。新しい職場で慣れていないのに、その週は5日間たっぷり勤務日がある。いやはや、新潟高校に愛着があり、新しい職場に不安がある者にとっては、今年のカレンダーは手痛い試練を与えてくれる。
 だが、この9年間、そしてそれ以前の日々、私の信じる神様は常に私を守り続けてきてくださった。その神様の守りがあったからこそ、9年間という時間が与えられたのだろうし、その日々が輝いているのだ。これからの新しい職場での日々もまた、神様の守りがあるに違いない。51年間という今までの時間がそのことを証明している。これからの不安は神様にお委ねするとして、この新潟高校での日々を最後まで思いきり満喫することとしよう。
 今日はほぼ1日中私物の荷造りに追われていた。私の周りには3段のカラーボックスいっぱい、そして机下の棚いっぱいの本がある。机の上にも本棚に本がある。まずはこれらの本たちを持参したミカン箱に詰め込んでいく。出入りの本屋さんからその都度購入した本や、自宅から持ってきた本もある。それらをともかくも詰めていく。本を詰め込んだ箱はともかく重くなるので、少々ため込んでいたミカン箱を利用したのだが、持参した10個のミカン箱をすべて使ってもまだ本が余っている。いよいよ、事前に確保しておいた段ボール箱を持ってきて、本を入れ、机の中の様々な資料や私物を入れ、またロッカーに入れていた資料や本を入れる。1日かかって、どうやら先が見えてきたようだ。箱13個を使って、どうやら私物はほぼ入れ終わった。
 今回は今までずっと大事にとって置いた資料をかなり捨てた。私は自分の授業プリントをほぼ取っておいてある。そして、同じ教材を扱うときには参考にしたり、時には同じものを使ったりした。だが、最近の授業のあり方を顧みてみると、全く同じプリントを活用することはほとんどないことに気づく。特に研究生活を始めてからは、今までのやり方を適用することはない。古典において少し使うかな、というところである。そこで、授業プリントを全部は持って行かずとも、大胆に処分しようと思っている。これは明日の仕事だな。
 そうしているうちに、約束した時間よりも1時間も早く、3年前に卒業したKさんが来てくれた。彼女は1年生と3年生の時に担任し、進路においていろいろと一緒に考えた、思い出のある人だ。今は3年生で、就職活動中だという。今日も新潟の企業の試験を受けに帰ってきていて、facebookに記した私の転勤の報せを読んで、試験の後に来てくれたのだ。就職スーツ姿で来てくれた。最初、誰かと思ったよ。こうして卒業生が私を訪ねてきてくれる。本当に、こんなに嬉しいことはない。
 彼女の就職活動の様子を聞いた。その厳しさ、困難さは大変なものだ。何度も東京と新潟間を往復している。私だったらあっという間に根を上げて、進学を選んでしまいそうだ。他の卒業生たちの動向も教えてくれた。3年前の卒業生たちは本当に今が大変な時なのだなぁ。彼らの頑張りをただ期待したい。そして、努力が報われるように、また、若者の努力が報われる社会になって欲しい。
 アルバイトの様子、大学での様子、これからのこと、彼女の家族のこと、私の近況など、相変わらずいろいろと話した。卒業生たちと話していると時間というものが駆け足で過ぎていくものであることがよくわかる。あっという間に時間が経つ。名残惜しい気持ちでいっぱいになりながら、彼女は帰っていった。
 本当に、この転出しようとする時に、忙しく、疲れてもいるだろうにわざわざ来てくれたKさんに心からの感謝をしたい。そして、新潟高校での勤務を終えようとしている私に心をかくも慰め、励ましてくれた。Kさん、そしてすべての私の卒業生の皆さん、ありがとう。