新年度への準備の中で

 昨日の合格発表の後の今日、1,2年生は通常事業に戻っていった。だが、3年生は国公立大の後期試験も終わり、今年の様々な作業をほぼ終えたと言っていい。今日は難関大・医学部合格者が2年生と懇談する会が放課後に設けられ、そのためもあって多くの合格した生徒が顔を見せてくれた。その難関大に合格した生徒たちは担任のところへ喜びの報告に来ていたが、この点、単なる教科担任である私へは特別の感情は持たないようで、来てくれる生徒はいなかった。むしろ、4組の生徒たちで私が古典講読を教えていた女子生徒たちが、同僚と昼食を外で取りに行き、戻ってきた我々を玄関先で見つけて、何と我々が車を駐めて玄関にくるのを待っていてくれた。そして、口々に「合格しました」と報告してくれた。いやぁ、嬉しかったね。彼女らの多くは昨年から古典を教えていたものたちであり、2年間続けて私が古典で関わってきた生徒たちだ。彼女たちも嬉しそうに合格を報告してくれた。こんな時、教員であることの喜びを感じずにはいられない。でも、彼女らがつかんだ喜びだ。私たちの力など本当に微々たるものである。ただ、彼女たちの心を動かすことができたのかもしれない。学ぶことの心を与えることができていたのならば、これ以上嬉しいことはない。
 後は国語科の来年度の持ち時間についての会議に出席したりする。着々と新年度に向けての準備が動き出している。私もそれに併せて、自らの整理と準備をしていかなければならない。と同時に、この時間を使って、まとめたいと思っている論文を書こうとも考え、その準備をしている。しかし、そちらの方はなかなか進まない。どうも、このいとおしい日々が過ぎていくのが何ともわびしくて、何も手がつかないような状態なのだ。いきおい、そんな自分の心を慰めるべく、つい手はライトノベルへ伸びていく。生産的なことがなかなかできない日々が続いている。
 一つの大きな事が終わろうとしている。大きなものが過ぎ去ろうとしている。その、とどめることのできない大きな流れのさなかにあって、その流れに流されながらも、何もできずにただわびしく震える自分がいる。そんな日々を、戸惑いながら送っている。