模擬面接指導での生徒の答えに驚いた

 特編Cが終わり、授業がすべて終わった。今日は小論文指導を2人こなし、後期試験への面接指導をした。担当者の粋な計らいで面接指導は教育学部系を志望する生徒のグループに割り当ててもらった。4人の生徒の面接指導をもう一人の同僚と行ったが、なかなか楽しい時間だった。教育学は何しろ私がここ数年にわたり取り組んでいる分野だし、4人の生徒の中には国語を専門としたいという者もいて、そうした生徒たちに模擬面接をするのは非常に興味深い経験だった。
 特にその国語を専門としたい生徒はなかなかよく調べていた。小学校教諭を目指しているのだが、同時に古典文学、特に源氏物語に関心を持っていると言う。そして、大学でも古典を深く学びたい、と言っていた。そこで、小学校の教員になった時、あまり古典作品を扱えないかもしれないが、小学生に古典作品をどのように教えたいと思っているか、と聞いてみた。すると、暗唱を重視したいと話してくれたが、その具体例として漢文の素読を行っている事例を聞いたことがある、と言った。いやぁ、これには驚いた。そうした実践があることは私も知っているが、だが、それはよほど国語の教え方や古典作品の教え方に関心を持っていないと、現職の教員でもなかなか知的アンテナに引っかかってこない情報のはずである。そもそも、現職の高校教員は暗唱をあまり重視しない。まして、漢文の素読を行うことの価値を認める教員も少ないだろう。だが、古典作品をしっかりと理解することを少しでもじっくりと考えるならば、古典の暗唱は最重要の事項になるはずだ。模擬面接をした生徒は、そんなことまでは知らなかっただろうが、ちゃんと漢文の素読の実践があることを知っていた。そしてそれを、自らが小学校の教員になった時に古典をどう教えるかという問いかけに際して、ちゃんと思い出して答えたのだ。これはすごいことである、と思う。
 この生徒もそうだが、他の3人もそれぞれに個性的で、教員という職業に対する考えをしっかりと持っている者たちばかりだった。ただ、彼ら全員が自らの経験の中にある教員の姿に憧れて、教員を目指したと答えていた。それも素晴らしいことなのだが、それを踏まえたうえで、「教員」という仕事自体の価値や意義を自らの言葉で語って欲しかった。アドバイスとしては、そんなところを中心に話をした。
 それらの仕事を終え、後は残務整理などをしていたのだが、意外に時間に余裕がなかったな。今年度も残り1ヶ月を切った。しっかりと残務を片付け、来年度に向けて準備をしたい。