センター試験が終わって

 センター試験が終わり、今日は3年生たちが登校してきて自己採点を行う日である。朝から我々教員の間ではセンター試験の問題の是非についての意見が交わされていた。もちろん、国語の問題が大いに話題となった。
 私は今朝の4時30分に起きて、前日に新聞で発表されていた国語の問題を解いてみた。いやぁ、驚いた。評論は小林秀雄の文章であった。今時小林秀雄かぁ、と面食らった。生徒はこの手の文章に全く読み慣れていない。これは手こずっただろうな、と思った。しかし、何度読んでも小林秀雄の文章を「評論」というカテゴリーに入れるのは納得できない。あれは論理的な文章ではない。あれは「エッセイ」である。どうもふさわしいとは言えない問題だなぁ。
 小説も奇妙なものであった。小説の中に登場人物が書いた小説がある、という構造のものである。どこまでがその小説内小説なのかを理解せねばならないし、それを踏まえて登場人物の心情を理解せねばならない。これもずいぶん読みにくいものだった。
 古文も難しかった。「松陰中納言物語」は、先週の金曜日に生徒に解かせていたS社の第6問の古文と同じ出典である。だが、場面が全く違うので、センター前日に同作品からの問題を解いていた、というアドバンテージは皆無に等しいだろう。いやはや、わかりにくい古文だった。和歌の解釈も難しかったし、登場人物たちのやりとりの関係をつかむのも難しかった。私は史上最低の点数しか取れなかった。
 漢文も度肝を抜かされた。例年6問で構成されるこの問題が、何と8問もあるのである。生徒は面食らっただろうなぁ。そして、漢文が苦手な生徒には苦しかっただろうな、と思う。残念ながらそうした生徒が多いのだ。そう思って、漢文は本当に手を尽くして指導してきたつもりだが、教員がいくら頑張ってもなかなか生徒の漢文読解力を伸ばすことができなかった。今後の課題だな。問題自体は、8問という問題量の多さにびびったけれど、今回の4つの問題の中で一番素直なものだ。
 いやはや、今年のセンター試験の国語はとにかくびっくりさせられるものだった。これだけ驚きを与えられるのはセンター史上稀なことだろう。平均点は大幅に下がるに違いない。というか、平均点を大幅に下げるための問題、という面が強い。センター試験は平均点を非常に気にする。平均点が高めの回が続くと、次はドスンと難しい問題を出して平均点を下げようとする。その下げ方がややあくどいのだ。今年はどうやらその「あくどい」平均点調整の年に当たってしまったらしい。平均点が下がるだろうことは予想していたが、ここまでひどい下げ方をするとまでは予想できなかった。
 他教科もあまり芳しくない。数学IAの出来がよろしくなさそうだ。ということは、国語と数学が平均点が下がったわけで、つまりは文系にとって厳しい試験だった、ということだ。我々の学年は今までずっと文系の仕上がりの良さで押してきたのである。その頼みの文系が崩れてしまったような格好だ。これは難しいね。出願校指導が難しいだろう。
 私は、3学年の副任として、そのセンター試験の自己採点結果の集計作業を手伝った。その作業が思いの外に手こずり、午後からすぐに書道部の校外作品展の展示作業に出かけねばならなかったため、昼食をとることもできなかった。その展示作業もすったもんだの末に学校との間を2往復せねばならず、これまたずいぶん時間がかかった。それまでに小論文の個別指導の指導担当者の割り振りをしていたのだが、その作業をとりあえず終えておいて良かった。そうでなければ明日の指導開始に間に合わないところだった。
 さて、ともあれセンター試験は終わった。考えるべきは次のことであり、結果を受けてどう行動するか、である。反省することは大事だが、こればかりは立ち止まっていても何の益もない。結果を踏まえて、次の行動へ! 私自身もそうだ。