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読解方略を適切に使う能力を養う授業へ

 今日から後期開始である。とはいえ、3年生はあっという間にセンター特編に入ってしまう。あと2ヶ月、といったところである。採点業務が押しているのだが、とりあえず目の前にある授業の準備を明け方の5時くらいまで行い、今日の授業に備えた。
 今日は現代文が2コマ、古典が1コマであった。現代文は加藤周一の「日本の庭」という評論である。と同時に、この3年間読んできた評論教材の、あるいは最後であるかもしれない。そこで、先日書いた論文で検討したことではあるが、読解方略を生徒が適切に使う力を養えるよう授業をセットした。まずは、評論を精読する際に用いる読解方略のリストを生徒に示し、それらの一つ一つを少し説明していった。紹介した読解方略は以下の18個である。

一「関連づける」
  ①文章の内容と自分が知っている知識とを関連づけながら読む。
二「イメージを描く」
  ②文章の内容を図やイメージで表し(頭の中で描き)ながら読む。
三「質問する」
  ③文章の内容について自ら質問しながら読む。
四「著者が書いていないことを考える(行間を読む)」
  ④「 」や〈 〉などの強調表現が付けられた意味を考えながら読む。
  ⑤比喩・象徴表現があれば、その意味を言い換えながら読む。
  ⑥指示語が何を指しているかを考えながら読む。
五「何が大切かを見極める」
  ⑦問題提起(=筆者の主張の提示)と解答(=主張の再提示)の箇所を探す。
  ⑧形式段落のキーセンテンスに傍線を引きながら読む。
六「様々な情報を整理・統合して、自分なりに解釈する」
  ⑨その文章が何について書かれたものなのか(話題・設定)を最初に確認する。
  ⑩文章の展開をつかむために、接続語を○や△や□などで囲みながら読む。
  ⑪意味段落のまとまりがどこまでであるかを意識しながら読む。
  ⑫具体(例示)と抽象(見解)とを仕分けしながら読む。
  ⑬比較・対照(対比)表現(「一方では」「他方では」など)では何が対比されているのか考えながら読む。
  ⑭ある概念と同意の表現(言い換え・繰り返し)を確認しながら読む。
  ⑮筆者の主張に対する根拠(理由)の示される箇所(「何故なら〜」など)に注意しながら読む。
七「自らの理解を修正する」
  ⑯自分の理解が間違っていると分かったら、他の視点を適用したりして修正する。
八「文章を批判的に読む」
  ⑰筆者の背景や意図や使う方法を問いかけ、主張を信じる根拠があるか考える。
  ⑱筆者の主張は自分とどんな関係があるか問いかける。

 そして、それらの読解方略を今まではどれだけ意識していたか、今後どのようにしていきたいかという思いを書かせた。まだ読んでいないのだが、果たして生徒はどんな振り返りをしてくれただろうか。
 その後、この「日本の庭」が昭和25年に書かれたことを紹介し、昭和25年とはどのような時代だったかを隣同士で確認させ、問うた。上の読解方略の9番と17番あたりを使うことになる。そうしたことも生徒に示した。生徒は「アメリカの大衆文化が入ってきて、経済成長が始まりかけていた時代」などと答えてくれた。それを用い、当時の日本人が日本の文化をどのように思っていたはずかを考えさせた。どちらのクラスも、日本文化が否定されていた時代だと答えた。そこで、加藤周一はこの「日本の庭」を書くことで、日本文化には普遍的な価値があることを訴えたのだ、と説明した。
 ついでに、方略の18番を用い、こうした文章を現代の高校生が読む意義について考えさせた。現代の我々は日本文化の力を知っている。アニメやマスコットなど日本発のサブカルチャーの力は大きい。その日本文化の力の源はどこにあるのか、日本文化の価値の理由は何なのか、こうしたことをこの文章を読むことで理解できるのではないか、と呼びかけた。どうやら生徒は何となく分かってくれたようで、ありがたい。
 古典は源氏物語の「若菜上」である。理数科は昨年、桐壺と若紫を学んだだけである。そこで、そこから後の物語のあらすじを、光源氏と紫の上、女三の宮と夕霧・柏木などの関係を中心に説明し、板書して確認した。この文章の面白さを知るにはここまで分からなければ。その後で私が音読し、さらに「あさきゆめみし」の該当の場面をコピーしたプリントを配った。これである程度イメージがつかめるだろう。その後で音読練習。今日はここまでである。
 さて、採点に邁進するか。それとも論文に取り組もうか。いや、これからは毎日最低1時間くらいは論文に取り組まなくては。