さらば、滝川

 3泊4日にわたる滝川市での滞在も今日で終わりである。私を迎え入れてくださった集会の兄弟姉妹の温かな交わりのせいか、ここを離れるのが辛くなってきている。だが、日常に戻らねばならない。仕事も待っている。意を決して荷造りを始めた。
 ホテルを出たのが9:30。タクシーで滝川駅に向かう。10:05に滝川市を離れた。さらば、滝川。人口は少なく、活気のあまりない街ではある。だが、私迎えてくれた人々は温かく、この地に懐かしささえ覚える。タクシーの運転手に珍しく私から話しかけた。台風の影響がなくて良かったと。そうしたら運転手さんは、滝川市はだいたいいつも天災の影響を受けることがないので、良い所なんだ、と答えた。妙に納得してしまった。
 さて、札幌に向かう。その途中の風景を見ていて、なぜだか守られているという幸せな気持ちになった。一つの仕事を無事終えることのできた安堵感だろうか。あるいはぽつりぽつりと点在する家々の姿からだろうか。読んでいた『日本の文脈』の内容のせいだろうか。不思議な感覚だった。これは、札幌に近づくにつれて薄れていってしまった。札幌って都会なんだもの。そこにはあまり表情が感じられない。
 札幌から新千歳空港へ。空港は案の定、大混雑していた。台風のために羽田から来る飛行機が運休になり、その影響なのかキャンセル待ちの人々や、新潟回りで東京へ行こうとする人々などが増えたのだろう。そもそも込んでいる空港なのだろうけれど、大混雑であった。自動搭乗手続きで手続きを済ませ、荷物を預ける行列に並ぶ。これが30分くらいかかった。そして、搭乗口へ。手荷物検査の所も大行列であったが、飛行機が飛ぶのに小1時間くらいあった。そこで、近くのベンチで少し休んだ。これが良くなかった。さて、そろそろ並ぶかと思って、大行列の後についたのが12:55。出発は遅れて13:25の予定である。30分くらいあれば大丈夫だろうと思ったが、手荷物検査に恐ろしく時間がかかっていて、搭乗時刻になってもまだ入り口にたどり着かない。しまいには私の名前を放送で呼び出され(他の方もおられたけれど)、3人ほど飛ばして手続きを済ませ、小走りに搭乗バスに乗り込んだ。やれやれ。すぐに行列に並べば良かったんだね。唯一の判断ミスであった。
 飛行機はプロペラ機であったが、順調に飛んだ。揺れもほんの若干で済んだ。晴れの気持ちの良い天気ではあったが、そして、うるさかったけれど、プロペラ機が何だか頼もしく思えた。あの回転するプロペラの頼もしさ。ジェット・エンジンとは違って目に見えるからかな。15:35、予定より10分遅れて新潟空港に到着した。妻と三男が迎えに来てくれていた。
 一つの仕事をなし終えた。帰ってくれば、はや10月である。今月は大きな仕事が2つ控えている。果たして生き延びられるかどうか心許ない仕事である。だが、ゴールを信じて一歩ずつ踏み出すしかない。動けば、進むのだ。そして、動けば、終わる。少しずつでも、頑張っていこう。