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新たな世代の台頭

 昨日の朝日新聞の別刷「Be」の「フロントランナー」という記事で、内田樹の『街場の文体論』などを出しているミシマ社の代表、三島邦弘さんが紹介されていた。『街場の教育論』など、内田本の主要なタイトルのいくつかを出している出版社なので、興味深く読んだ。そして、若く新たな世代が着実に台頭していることを知った。
 三島氏は中堅出版社に最初勤めていたが、自分の提案する改善意見がことごとく採用されず、ついに会社を辞めて独立したそうである。

 「これはおもしろい」と直観しても、社内で企画を通そうとするうちに熱量がこぼれ落ちてしまう気がした。「効率」や「マーケティング」が持ち出される度にうんざりした。2社で計7年働いた末に、言葉がうまく出てこなくなった。
 ある晩、布団の中で「自分で出版社をつくろう」と思いつく。内田さんにメールを送ると、「それが良いと思います」。原稿と、「大部数を追うのではなく、目に浮かぶ読者に向かって本を作りなさい」との言葉をもらって事業をスタートさせた。

 このあたりの件がとても良い。効率追求ばかりの世の中で、そうではない生き方や働き方がある。また、それを後押しする内田樹氏の言葉も良い。
 三島氏は「小商い」に徹する。話題作を生み出しているが、それらの在庫をすべて自社に置き、絶版を決してしない。また、書店との取引を直接行い、書店を訪れて自社の本を置いてくれるよう依頼し、注文を取っていく。このような手作り感覚と顔の見える商売をしている。本にはさまれるミシマ社へのハガキも手書きである。
 こうしたアイディアを次々に出し、それを形にして行動できるのも「小商い」であるからだろう。メガヒットを狙うのではなく、着実な出版業を続けている三島氏を応援したくなる。また、ミシマ社の内田本を買おうか。
 内田樹氏は、自分の道場兼自宅「凱風館」を設計・建築させるのを、無名の若手設計士である光嶋裕介氏に依頼し、大変にユニークで生きている空間を現出させた。そうした若い世代を生かす場をつくるのに長けておられる。そして、若い世代の台頭を喜ばしく思う。
 もっとも、三島氏は京大卒、光嶋氏は早稲田卒・ドイツで修行終了というけっこうな経歴の持ち主たちではあるのだが。しかし、今の社会はこうした高学歴の人たちでもそう簡単に就職できない「ヘンな」世の中である。そうした中で、若い世代は頼もしい。いや、私はもちろん中年だが、私も頑張らなくっちゃ。
 この朝日新聞のフロントランナーは、時に功成り名遂げた方を載せることもあるが、時折こうした「旬な」人を紹介してくれる。なかなか良い。毎週楽しみにしている。先日はNHKの「コロンビア大学白熱教室」で話題になったコロンビア大学シーナ・アイエンガー氏を紹介していて、びっくりした。ちょうど日本に来た際にインタビューしたらしい。彼女のこの本も読みたいなぁ。

選択の科学

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 そんな中、市立図書館からこのDVDを借りて観た。久しぶりだが、やはり良かった。ジャッキー・チェンは良い。たまたまテレビでも「ベスト・キッド」を放映していたが、これまた良かった。ジャッキーがだいぶ年老いていて、心配したけれど。

ポリス・ストーリー/香港国際警察 デジタル・リマスター版 [DVD]

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