涼しくなりましたが……

 最近は、朝晩はけっこう涼しい。夜中に買い物に行くという妻の荷物持ちとして出かけていったのだが、Tシャツに短パンという格好でスーパーに行ったら、ずいぶん寒い思いをした。日中はまだ暑いし、今日は日中雨がちで、窓を閉め切っているのに教室のエアコンの設定温度を高めにしているものだから、かえって暑かったりするのだけれど、それでも秋は確実にやってきている。長男が通う塾でも、週に4回、3時間ずつ受験対策をするという。受験生にとっては大きく成長する「実りの秋」がやってきたのだね。受験生といえば、先日訪問してくれた卒業生も今年はある意味で受験生の立場であるそうだし、そもそも私自身も、受験ではないけれど、今年はある意味で正念場の年である。そんな者たちにとっても、来年3月のそれぞれの目標をなし終えた姿を夢見つつ、そこに向かって大きく動いていかなければならない「実りの秋」がやってきたわけだ。あの、肌にまとわりつくような生ぬるい朝晩の暑さに閉口していた日々は、そろそろ終わりである。おかしなもので、あれほど「早く涼しくならないかなぁ」と願っていた自分が、過ぎてしまえばその暑さに懐かしさを覚えたりする。「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」。この歌は、まだまだ暑い盛りに詠んだもののはずで、今の季節には少々遅いけれど、季節の変わり目、すなわち新しい時間に切り替わったことを感じるこの頃である。
 さて、今日の授業は3コマ。文系の現代文が2つ、文系の古典が1つである。どれも電子黒板を使う。考えてみれば、電子黒板が導入されて以来、電子黒板を使わなかった授業は1時間もない。毎回毎回電子黒板を使い、自分なりの活用法を考えてきた。せっかく数千万円を投じて整備したツールだからね。そして、こんなツールが整備されている高校など県内では他にないからね。どんどん使っていこう。市内のある高校では、本校のこの実績を聞いて、電子黒板の導入を検討しているらしいけれど。
 現代文の方は残り時数が切羽詰まっているので、なるべく早く進めている。いきおい説明中心の授業になるので、内心面白くない。それにあるクラスでは電子黒板の調子がおかしくて、ペン・ツールが使えなくなってしまった。こんなトラブルに見舞われたのは初めてである。他の同僚たちから様々なトラブルの噂は聞いていたが、自分自身では全くそんなことはなかった。しかし、今日自分が経験したトラブルは深刻だった。何しろペンが使えない。ということは投影している画面に書き込めないのである。仕方がないので、ホワイトボード・マーカーを使って、スクリーンに直接線を書く、という業を使った。いっそ、スクリーンを上げてしまい、黒板に直接画面を映し出して、チョークで書き込む、という方が良かったかもしれない。
 古典の方は、このクラスはようやく「無名抄」に入った。理数科のクラスではこれを終えてしまったのに。文系と理数科とで3時間くらいタイムラグがある。それだけ、行事やら曜日のマジックやらで、そもそもの時数が違うのだ。困ったものだ。そのように遅くなっているのに、今日の授業では最初の俊成の和歌の解釈の途中で終わってしまった。この歌は、その解説までしっかり終えたかったな。残念。
 さてさて、受験生にとって、我々にとって、「実りの秋」である。それらしく、積み残し続けている懸案に少しでも取り組んでいきたいなぁ(切なる願望)。