源義朝、為義父子の哀惜:後期夏期講習3日目

 今日は土曜日であるが、3年生は夏期講習がある。しかも、4限まであり、私はその3限と4限に講座があるため、珍しく土曜日の午後も学校にいた。もっとも、講習が終わった後、15時には帰ったけれどね。
 今日扱った教材は平成23年度のセンター試験第3問、「保元物語」の一節である。源義朝、為義父子が天皇方・上皇方と別れて争い、義朝の方が勝って、父の為義を死罪に処さなければならない場面である。何と、1ヶ月前くらいに大河ドラマの「平清盛」でやっていた場面ではないか。平成23年度入試の時は受験生の多くが具体的に場面を思い浮かべることは出来なかっただろう場面が、今はきわめて具体的に思い描くことができる。なかなかタイムリーな教材である。大河ドラマは視聴率的に非常に苦戦しているようだが、がんばって欲しいなぁ。平安時代末期の様子をあのように映像化してくれる機会はそうそうないのだから、国語教師には非常に興味深い内容である。
 さて、試験の内容は、傍線部自体は解釈するのに大した努力を必要としない箇所ばかりである。軍記物語だから和歌もない。1箇所、前後の文脈をかなり長く読み取らないと到底正解にたどり着けない問いが、しかも問1にあったけれど、傍線自体はおおむね理解は用意である。しかし、問いに答えようとすると、問3〜5はどれも、本文のかなり広い範囲の大意をつかまなければならないものばかりである。これは古文の大意解釈能力、そして文章の要約能力を鋭く求めている問題だ。まあ、文章自体が、軍記物のこうした文体に慣れてしまえば、結構意味がたどりやすいものなので、こうした種類の問いしか設けることができなかったのだろう。作題者の苦労が透けて見える問題である。何しろセンター試験・国語は、この前年の問題がとんでもなく難しかったからね。翌年のこれは易しいものにしなければならない、という至上命令を受けていたのだろう。
 こちらとしては文章の大意をつかませる練習に非常に適した問題である。そこで、問いに答えるために本文のどの範囲の部分を理解しなければならないか、それを捕まえるためのポイントを解説した。その後は、ガーッと文章を読んでだいたいの意味をとらえれば良いだけである。それでも生徒にとっては難しかっただろうね。
 センター試験の問題はやはり良問である。よく考えられている。年によって難易度の差は結構あるものの、その狙いはおおむね妥当である。古典の基礎学力を徹底的に身に付けさせることを目的とする演習にはもってこいである。
 そんな中、今はこんな本を読んでいる。

街場の文体論

街場の文体論

 いやぁ、すごい本ですね。内田樹の面目躍如である。文章を書くという行為がどのようなものか、そしてそれを学校教育がどう教えてきたか、大学の講義口調で非常に分かりやすく、説得的に描き出されている。と同時に、学校教育でライティングをもっともっともっと扱わなければならないことを痛切に思わせられる。今、必死になってまとめようとしているリーディングの研究が一段落ついたら、次はライティングの研究に取り組もうかなぁ。そして、高校教育におけるライティング教育の実践を行おうかなぁ。そう思わせられる、非常に力のある本だ。