蘇東坡のユーモア:後期夏期講習2日目

 今日の講習は平成24年度センター試験の第4問、漢文を題材に取り上げる。前回のセンター試験国語は平均点がかなり高かった。その理由の1つが、おそらく古文・漢文が比較的に易しかったからだろう。古文も、訓練を積んでいればそう間違う問題ではなかったし、何よりこの漢文が非常に易しい。訓練を積んでいる者なら、さほどの時間もかけずに全問正解が可能だったはずだ。ということは、理系・理数科の現役生にとっては漢文読解の練習に最適の問題である。今日は、単に問題の解説をするだけでなく、若干の演習も行った。
 この問題の一番の難問は、もしかしたら問1の語句の意味を答える問題であるかもしれない。「未幾」と「交」の2つの語の意味を選択する、という問題である。「交」の方は前後の文脈から「かわるがわる」だと何とかたどり着けるかもしれない。だが、「未幾」の方は、「幾」が「いくばく」と読めることを知っていないと手も足も出ない。そこで、漢文の問題でよく出題される語句の読みの練習を行わせた。プリントを配布し、読みの問題で出題される語句ベスト50のものについて、その読みを書かせた。その後で暗記用のプリントも配布して、生徒が覚えやすくなるようにさせた。
 その後は、問題に添って本文を読解しながら問いを解説して行った。生徒はどの程度出来たのかな。問題を解かせていた時は、20分間の時間が余っていた感じだったけれど、正解率はどの程度だったのだろう。問いごとにゆっくり解説していったけれど、よく分かっている生徒にはやや冗長な解説だったかもしれない。今回は正解を最初に言わずに、解説をしながら1問ずつ正解を告げる、というパターンでやっているので、正答率を確認することが出来ないのだ。
 今日扱った文章は唐宋八大家の一人、蘇東坡(蘇軾)についての話である。彼が讒言により流罪となり、赦されて帰還した祭に、彼を罪に定めた裁判官に出会った。その者に「戯れて」言った話である。さすがは蘇東坡、深く恥じている裁判官に対して怨言を言うのではなく、その深く恥じていることを表す語句の音を用いたユーモアのあるたとえ話をしている。
 センター試験というのは、時に解答者の心を打つ問題文を出題することがある。かつての「国語I」の問題で『デューク』(江國香織)が出題された時は、感動のあまり涙を流した受験生が多数出たそうな。今日の問題文は、感動の涙こそ流さないだろうけれど、蘇東坡のユーモアを理解した者ははたと膝を打ったことだろうね。易しいけれど良い問題である。

デューク

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