ツリー構造の威力

 後期夏期講習1日目である。久しぶりの学校は、また生徒たちが変わらず集い、再び「学校」としての顔を見せ始めた。3年生は今日から7日間の後期夏期講習が始まる。久しぶりにSHRにも出た。もはや夏休みは終わり、である。
 後期夏期講習では、私は「センター古典」を担当する。センター形式の問題を使って、古典の基礎学力を強化を図ろう、というわけだ。したがって、受講する生徒は理系の生徒である。この講習では英語科が講座を開講しないこともあって、国語の講座が例年になく受講者数が多い。私のセンター古典講座でも45名の生徒が受講している。これだけの人数及び、他の講座との兼ね合いのために、2コマに分割して邂逅しなければならない。私のものは午前に1コマ、午後に1コマとなった。いやぁ、15日間のブランクの後に急に2コマの講座を行ったものだから、疲れた疲れた。へとへとになっちゃった。
 講座ではセンター試験の過去問を使う。今日は昨年の問題の第3問「古文」を扱う。比較的易しい問題である。まずは20分間で生徒に問題を解かせ、残りの45分間で解説をする、というパターンだ。しかし、今日は初日なので、まずは講座自体の説明や進め方なのを説明するのにずいぶん時間がかかってしまった。結局最後の第6問の解説は行えずに時間切れ、であった。
 こうして夏期講習が始まってしまうと、やはり1日の時間のほとんど全てが講習の対応に費やされてしまう。講座が始まるまでの空き時間は、講座で使う解説プリントを作成していたし、講座が終われば明日の範囲の準備をしていた。その間、生徒が模擬試験の問題の解説を求めてきたので、それに対応する。いきおい、ちっとも自分のやりたい仕事のための時間が取れない。
 それでも、講習直前の10数分間に、昨日までいろいろと考えていた自分の仕事についての作業を継続することができた。昨日までは自分が書こうとしている文章の構想を練っていた。発想メモを書いて、自分が書こうとしている内容、書くべき内容の洗い出しをしていた。その途中で終わっていたけれど。大学ノートに手書きでブレーン・ストーミングっぽく、ウェッビングっぽくやっていたのだ。
 今日はそれらの内容をコンピュータ上でやってみようと思い、Macを開いてアウトライン・プロッセッサである「tree」を立ち上げて、発想メモの内容を見ながらまとめ始めた。この「tree」というソフトウェアはアウトライン・プロセッサーであるが、その表示の仕方に特徴がある。通常のライン型の表示の他に、各項目間の上位項目・下位項目の関係をツリー構造の形で表示することができる。私は普段はライン型の表示で使用している。まあ、これまでにこのソフトウェアをそんなに使うことはなかったのだが。しかし、ふと今回はツリー構造で表示させながら内容をまとめ始めた。いやぁ、そうしたらどうだろう。自分が書き出した項目では足りないところが自然に分かってきて、加えるべき部分が明確に分かるのだ。これには驚いた。そもそも論理的文章というのはツリー構造でその構造を表すことができる。だからこそ、自分の書いたメモをツリー構造で示すことで、必要な部分・足りない部分が明確になるのだ。
 最近はノートを広げて手書きでいろいろ考えを進め、まとめていく、というスタイルを取ってきた。その方が頭に残りやすそうだったからだ。しかし、こうしてコンピュータを使うのも大切なことだ。何事も一つのスタイルにこだわるのではなく、必要に応じてその場に相応しいツールを使い分けることによって、作業はより効率的に進むようだ。この「tree」も、私がとりあえず手書きでメモを書いて、頭の中にある項目をある程度書き出していたからこそ、ツリー構造で表示することの威力がまざまざと現れたのだろう。やはり、課題を解決するためのさまざまな方略を持ち、それを場面に合わせて使い分ける資質が重要なのだろうね。
 しかし、こうなるとより手軽にコンピュータを広げることができる環境が欲しいなぁ。家のPowerBookは外付けHDで動いているので、むやみに持ち出せないのだ。どこへでも連れて行けて、どこでも開いてさっと作業のできるMacが必要である。
 おいおい、そんなものはMacBook Airしかないじゃないか。やっぱり必需品なんだなぁ。(^^ゞ