「方略」とは銘打つが、やはり受験テクニックかなぁ?

 前半の夏期講習の2日目。今日も2クラスを相手に古典の講習を行う。こうした講習期間に入ると、午前中は講習、午後はその予習とプリント作成というように毎日の生活がパターン化する。担任だったときは、これに連日の保護者面談が加わる。いやはや、よくもあの時は生き延びることができたものだなぁ。我ながら感心する。それだけ、3年生担任としてのこの講習の時期は過酷である。私は副任として初めて3年生の夏を迎える。9年目にして初、である。何だか感慨深いものがある。でも、私にはこの夏に他の多くの仕事を抱えている。図書館協議会の仕事、120周年記念誌の原稿書き、あとここには書けないあの仕事、そして個人的に抱えている大仕事、etc.etc.……。今、講習とその準備に1日の大半を使っているのが恐ろしい。終わった後で何が待っているのだろう……。
 さて、今日の講習で扱った「方略」は以下の通り。

古文の読解方略
 3.傍線部を口語訳や解釈する場合は「直訳」する。
 4.文章全体の場面を理解するためにリード文を確認する。
 5.文の主語を確認するために敬語の有無・種類に注目する。
漢文の読解方略
 4.まとめの語(例:「是」)がある場合、何を指しているのか確認する。
 5.傍線部を解釈する場合は句法の訳し方に忠実に訳す。
 6.傍線部に指示語がある場合はその内容を必ず確認し、訳文や説明文に入れて考える。

 古文・漢文とも通番の番号を振っているので、今のところ古文は5つ、漢文は6つである。しかし、これはとても「読解方略(Reading Strategies)」だとは言えないだろう。「読解方略」とは「熟達した読み手」が使っている方法を析出したものである。その考え方に沿っていえば、上に挙げたものは「熟達した『入試問題解答者』」が使っている方法である。決して一般的な「読み手」を想定していない。それは要するに、受験産業において多くの予備校の講師などが扱っている方法である。これでは、一般的な読みの場面に使うべき「読解方略」という言葉を使わない方がよいのかもしれない。ストレートに、正直に、「受験テクニック」と呼ぶべきなのかなぁ?
 ただ、受験テクニックの中にも「方略」的なものはあるのではないかと思う。そして、方略指導においてはその方略というものがあるということ、それを使うべきなのだということを意識することが重要である。そうした「意識か」の必要性という点においては、受験テクニックも同じだと思う。その「意識化されたスキル」の定着を目指して、私は今回の講習で教えている。それで、つい「方略」という言葉を使ってしまうのだろうね。うーむ、良くないなぁ。用語の扱いには注意を払わないと。軽々しく使っていると、今に自分の中で定義が怪しくなるぞ。
 講習では、今回扱った「スキル」(もう、スキルと言っちゃおう)が「傍線部を直訳せよ」ということを徹底させるべきものであった。そのため、傍線部を直訳し、その訳し方で選択肢を絞り込み、最後に文章の内容で決定する、という問題解法を教え、徹底させた。よって、時間が大幅に足りなくなり、結局古文1問を扱うだけで終わってしまった。やれやれ。明日は漢文DAYにしようか。