評論文の各段落に小見出しを付けさせる

 昨日の現代文の授業について書いておこう。昨日は現代文2クラスの授業があった。どちらも文系クラス。そして、どちらもほぼ同じ作業を行った。それは「各段落に小見出しを付けよう」というものである。だが、全ての段落に小見出しを付けるのではなく、今日取り上げる第2段落に小見出しを付けることにした。
 その、第2段落に小見出しを付けさせる際に、(1)小見出しを付ける方法、と(2)小見出しを付けることの利点とを話し、板書して生徒に示した。以下のものである。

小見出しを付ける方法

  1. 段落のキーセンテンス、キーワードを探し、そこから小見出しを20字前後で付ける。
  2. キーセンテンスは各段落の最初か最後に置かれることが比較的多い。日本語の文章の場合、最後の方が多い。(もちろん例外はある。段落の中も気を付けていこう)
  3. 一度付けた小見出しを、前後の段落の文脈に沿うように、修正する。

小見出しを付ける利点

  1. 段落と段落同士の関係を考え、筆者の主張を正確に捉えるのに役立つ。
  2. 文章のある部分の意味や理由を考える際に、文章をどこまで遡ればよいのかの範囲を素早く限定できる。
  3. 文章全体をふりかえって、問われている内容がどこに書いてあったかを素早く探すことができる。

 実はこれは読解方略指導の一環である。「小見出しを付ける」というのも、読解方略の一つであろう。この方略を用いることによって、文章の流れを理解しながら、筆者の主張を正確に読み取ることができる。
 だが、方略というのは、読者が自然と使用しているものではあるが、それはこういう方略があるんだという知識に基づいたものでなければならない。つまり、読解方略指導には2つの側面があり、そのどちらも重要である。

  1. 読解方略に関する知識
    • 方略とはどのようなものか
    • どんな方略があるのか
    • その方略はどのようなことに役立つのか
  2. 読解方略の実際的使用
    • 方略を意識的に使用しているか
    • それぞれの文章を読解するのに適切な方略を選択して使用しているか
    • 方略を総合的に使用しているか

 私のこれまでの実践は生徒が読解方略を使用する場面を設定することを中心に考えてきた。そして、その場面を調査することで、2番目の読解方略を生徒がどのように使っているか、ということを明らかにしようとしてきた。だが、それだけでは読解方略を伸長させようという意図には適さない。読解方略を使用する場面を設定すると同時に、読解方略に関する知識も生徒に与えておかなければならないのである。
 最近はこれを良く意識していて、評論文の読解に入ったことだし、生徒に読解方略に関する知識を与えて、それを援用させるようにしようと考えている。来週から夏季休業に入るが、私は3年生担当なので、夏期講習が夏休みの前後にある。その時にも、この読解方略に関する知識を与え、生徒がそれを活用できるようにしていこうと考えている。
 授業は、以上のように「小見出しを付ける」ことの方法と利点を教えた後、実際にやらせてみて、隣同士で確認させた。そして、2人の生徒に指名して発表させ、黒板にメモしておいた。授業は、これが妥当かどうかを確認する形にして、第2段落の読解をしていった。そして最後に小見出しの例を示し、生徒の付けたものとを照合させた。今回の評論文はこうした形で読み取っていくと良いのではないだろうか。

大学図書館から借りた本

 大学図書館にリクエストして、購入していただいた本を借り出した。以下の2冊である。

Mosaic of Thought: The Power of Comprehension Strategy Instruction

Mosaic of Thought: The Power of Comprehension Strategy Instruction

In the Middle: New Understandings About Writing, Reading, and Learning (2nd Edition) (Workshop Series)

In the Middle: New Understandings About Writing, Reading, and Learning (2nd Edition) (Workshop Series)

 『Mosaic of Thought』は読解方略研究には欠かせない本である。方略についての知見がある。『In the Middle』はリーディング・ワークショップ、ライティング・ワークショップの原点となる本である。いずれも自費で購入したかったのだが、なかなか難しい。大学図書館が入れてくれたことを感謝したい。