「舞姫」の悪因ランキング

 今日は現代文の授業が2つ。1つは理数科で、これは何とかテストを返し、その解答についてアドバイスをし、質問を受けた。その間、文系でも行っていたミニレッスンの3番目、「社会・世界と結びつける」という方略についてのレッスンを行った。この方略について説明し、そしてワークシートを用いて「舞姫」と社会・世界とのつながりとを考えさせた。
 もう1つは文系である。このクラスでもテストを返そうと準備していたのだが、かねてからやりたいと思っていた授業を行うにはこのタイミングしかないので、テスト返しは(あえて)せず、私が「舞姫」を扱い終えた際に必ずやることにしている定番の授業、「舞姫」悪因ランキングを行った。
 これは「舞姫」の登場人物9人(9種類)を挙げ、あの悲劇的な結末に対してこれらの9人の人物たちはどの程度責任があるか、責任の重さ順にランキングを付けよう、というものである。9人のランキングをしたあと、その順位を付けた理由を一人一人についてメモしておく。これを最初に個人で考えさせたあと、次に3人のグループを組ませて、そのグループ内で話し合わせてランキングを決定させるのである。
 ランキングさせる登場人物は以下の9人である。

・太田豊太郎  ・エリス  ・相沢謙吉  ・天方伯  ・シャウムベルヒ  ・エリスの母  ・官長  ・同郷人、留学生  ・豊太郎の母

 この9人について第1位から第9位まで、結末への悪因順にランキングをさせる。最初は個人作業だ。これをじっくり行わないと次の話し合いが上手く行かないので、十分な時間を取る。今回は15分間考えさせた。
 その後、3人ずつのグループを組ませる。そして3人の中で話し合い、それぞれの意見を持ち寄って、グループとしてのランキングを決定するようにさせた。

 この際、ランキングについての互いの意見が対立しても安易に調整することなく、根拠を持って相手を説得するよう指示した。もうお分かりのことと思うが、この授業は決して小説学習後のレクリエーションなどではない。これは「話すこと・聞くこと」の領域に関する「授業」である。つまり、「根拠を持って相手を説得する」ことの学習・練習である。ディベートなどでこの学習は効果的に行うことができるだろう。そして、この「舞姫」を使った悪因ランキングの授業も、極めて効果的にこの学習を行えるのである。
 これは「舞姫」の作品世界にシンパシーを多く抱いている者ほど熱心に話し合いができる。そして、私はこの悪因ランキングを勤務校で行うのは3回目だが、どの回もほとんど例外なく「大いに盛り上がる」のである。今回も、話し合いを35分間続けさせた。さすがに最後の方では議論することに疲れてきたグループも見受けられるようになったので、最後の数分間は他のグループの討議結果を見に行っても良いことにした。それでも、35分間の間、生徒たちは極めて真剣に、そして極めて笑顔で、話し続けるのである。これは非常によい題材だと思うし、話し合いの力もつくのではないかと期待できる。
 このランキングの肝は、エリスと相沢謙吉、天方伯などを何番目に置くか、である。ここに個人の意見が如実に反映する。そして、そこがグループで議論する際の対立点になるし、説得の勘所になる。今回も非常にユニークな討議結果が出てきて、大変興味深い。あるグループはエリスこそを悪因の第1位に挙げていた。その理由がどんなものか、興味深い。
 この討議結果は、本来ならば次の段階としてクラス全体で討議し、クラス全体としてのランキングを付けるところまで行くのだが、ただそこまで来ると説得する相手が不特定すぎて、ランキングが無難なものに落ち着くだけという可能性がある。そこで、クラス全体討議は行わない。3人のグループ内での話し合いで十分だ。ただ、討議結果をプリントにまとめて、全員に紹介しようとは思っている。
 いやいや、今回も楽しそうだった。

DVD「さよなら銀河鉄道999

さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅- (劇場版) [DVD]

さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅- (劇場版) [DVD]

 YouTubeでの視聴をきっかけに、ちょっと個人的にはまっているのがこの「さよなら銀河鉄道999」である。いやぁ、懐かしいなぁ。これを劇場で見た時、私は高校生だったかな。ラストシーンのメアリー・マクレガーの主題歌が実に切なく物悲しいこと。久しぶりに堪能した。
 ただ、やはりストーリーが雑だね。全ての謎の解決を図るあまり、ストーリー自体がちょっと都合良すぎるのではないか。最後に「サイレンの魔女」なんていう機械エネルギーのみを選択的に吸いこむブラック・ホール的な彗星が出て来るのは、ちょっとね。都合良すぎるなぁ。その点、前作の「銀河鉄道999」はまだまともだったような気がする。もう少しストーリーに必然性が欲しい。
 それでも、懐かしさとメーテルというキャラクターの素晴らしさに免じて、許してあげよう。