今年の体育祭が終わった

 今日は一昨日の体育祭の代休である。何しろここ数日は体育祭のために忙殺された。特に主要な役割を担っていたわけではないが、それでも体育祭関連の様々な動きにこちらも左右される。そのため、なかなか余裕がなかった。今日はのんびりと自分の仕事やなすべきことに専念できる。助かる。
 一昨日の体育祭は私の記憶にある中で最悪の天候の体育祭だった。自分が高校生だった時に3回、そして教員として赴任して9回、計12回この体育祭を経験しているのだが、私の記憶に残っている限りでは最悪の天候だった。午前中はまだ良かった。朝から小雨が降っていたが、降ったり止んだり程度で、グラウンドは土埃が立たずに、実によい「お湿り」であった。ところが午後に入ってから次第に雨は勢いを増し、終わり頃は土砂降りとは言えないものの、通常の「雨」くらいの雨量であった。今まで、土砂降りで始まってからりと晴れる天気とか、ぐずぐずとした空模様が続くとか、地震とか雷とか、様々な天候・気象があったけれど、ここまでの悪条件はなかった。それでも始まってしまえばこちらのもの。結局一つのプログラムの変更もすることなく、体育祭は完全実施された。いやはや、これはすごいことだ。今年のこの天候で完全実施したのだから、もはや体育祭の実施には気象条件は関係がない。
 その悪条件の中で、3年生を中心として生徒はよく頑張ってくれた。本当に雨でずぶ濡れになって寒いだろうに、歌ったり踊ったり、男子は上半身裸で騎馬戦をしたり、半ば泥の中で連合対抗リレーを行ったり、全力で取り組んでいた。本当に彼らのパワーには頭が下がる。私は審査員の一人だったことをいいことに、テントの中で終始観戦していた。まあ、おじさん(おじいさん?)なので、勘弁してくださいな。
 結果はややアンバランスなものとなってしまったが、それはその連合のメンバーが一体化した度合いの差によるのではないか。どの連合も等しくがんばった。その努力に優劣などつくはずがない。結果はほんの「おまけ」である。おまけがあるに越したことはないが、メインはそこに至るまでの努力である。そしてその努力したことが彼ら生徒一人一人の成長にどれだけ深く貢献するだろうか。本当に、ここまでの完成度で仕上げた彼らのマネジメント力は絶賛すべきものである。
 同時にこれはまた「伝統」の力でもある。これまでの卒業生たちが培い、残してきた記憶、ノウハウ、気概、それらのものが一体となって、現在の生徒たちを行動に駆り立て、達成してこさせた。一番の力は現3年生が過去2年間に、あるいは現2年生が昨年、見てきた体育祭の経験が力を発揮していただろう。だが、それはまたそれ以前の卒業生たちが実現してきた体育祭の完成度の記憶につながっている。その一連の記憶の中に私自身もいるわけだ。本当に「伝統」の力は決して侮れない。
 ともあれ、今年の青陵祭は終わった。雨という最悪のコンディションの中で最高のパフォーマンスを発揮した青陵祭として長く記憶に残るだろう。そして新たな伝統を生み出していくだろう。本当に、素晴らしい経験を与えてくれるこの高校に深く感謝をしたい。