『こころ』読解の授業

 9組、5組、8組での授業。授業変更等で今日は現代文が3コマのみであった。全て試験範囲は終わっているのだが、Kの自殺の意味について少しでも考えさせたいと思い、授業を続行する。3クラスともほぼ同じ箇所からスタートし、ほぼ同じ箇所で終わった。これで私が出ている4クラス全てがほぼ同じ場面まで終わったことになる。
 「私」が奥さんから、自分とお嬢さんとの婚約をKに告げた、という場面からスタートした。そして、まずは「私」の視点側の心情を整理した。「私」が「最後の打撃」と表現した、その意図を考えさせた。そしてKの「超然とした態度」に対する「私」の劣等感と、謝罪したいができない心情を確認させた。
 その後でKの視点側で心情を推測させた。Kが自己矛盾に陥り、理想の人生が崩壊していたこと、そしてその人生を何らかの形で清算しようとしていたことを確認した。そして、それから2週間くらい経つのだろうか、奥さんから「私」とお嬢さんとの婚約を聞かされた時のKの心情を推察した。彼の「最も落ち着いた驚き」の内容の多くは「「私」もお嬢さんが好きだったことに初めて気付いた」ということだったはずだ。そこから、「そんな「私」の気持ちに自分は少しも気付いてやれなかった」ことを思うはずである。そして、「それは自分が自分のことばかりに集中していたせいだ」ことにも思い至るはずだ。しかも、そうこうしてぐずぐずしているうちに「「私」が自分を裏切ることまでに、「私」を追いつめてしまっていた」自分に気付くはずである。そこからは「自殺決行の決断」へと進んだであろうことは想像に難くない。
 ここまで確認した後で、Kの自殺が「土曜の晩」だった意味を推測させる。9組では「自分の死体の後片付けをするのに迷惑をかけずに済むし、みんなが遅くまで寝ているから「私」に発見してもらいやすい」と2点も答えてくれた。5組でも8組でも、「死体の後片付けに迷惑をかけずに済む」ことを挙げてくれて、非常に嬉しく思った。ちゃんとストーリーの流れに合わせて読み取りをしているのである。
 後はKが「この間の晩と同じくらい」開けたままにしていたふすまの意味について説明した。どのクラスもここまでであった。
 試験が終わった後、もう1時間をかけて残りを説明するつもりである。しかし、それだけでは終わらせたくないなぁ。こうしていろいろと明らかになったKの自殺の意味とそれを目の当たりにした「私」の心情について、最後に何か書かせようかな。