『こころ』の授業

 8組と3組での授業。8組は「私の『こころ』論」を書かせた。今までの3回の話し合いの経過を確認させながら書かせたいと思ったので、図書館に生徒を呼び、各テーブルにこれまでの話し合いで使用した模造紙を置いて、随時それを見ながら自分自身の考えを書かせた。3回話し合いをさせた、その3つのテーマから1つを選び、グループで話し合った内容を参考にしながら、論を書かせるのである。その際、「問題提起」ー「なか1」ー「なか2」ー「まとめ」ー「終わり」という5段落形式で書くように枠を記したプリントを配った。もちろんこれは市毛勝雄先生の作文指導法に則ったものである。生徒は熱心に書いてくれた。時間内に書き上げられない者も半分ほどいたが、半分ほどは時間内に提出してくれた。これらを読んで、生徒の読みの深まり具合を確認していきたい。
 3組は上記の「『こころ』論」を既に書かせているので、いよいよ今日から読解作業に入る。5時間くらいをかけて、ほぼ通常の授業の形態で読解を行い、生徒たちが自分たちで話し合った読みが妥当だったかどうか、読み落としや勘違いがなかったかどうかを検証させるのである。同時に、これが試験での共通問題を解答するための対策になる。
 とはいえ、せっかく話し合いを3時間も重ねてきたのだ。それを踏まえない手はない。そこで、Kの自殺の理由についてもう一度問題提起をし、それは「私」がKの恋の告白の後に自分の思いを告げれば良かったのに、何故告げることができなかったのか、を追究させることにした。その理由はもちろん本文のすぐ前にある「一種の恐ろしさ」の故である。つまり、「私」はKを恐ろしいと思っていたのである。では、そのようなKとはどういう人物だったのか、本文からそれが分かる箇所を探し出させ、隣同士で確認させた。Kの自殺の理由を考えるためには、Kの人物像を正確に押さえることが不可欠である。おそらく生徒はこの作業があいまいであるために、Kの自殺の理由を表面的なレベルでしか捉えていない。ここをしっかり踏まえることで、Kの自殺を考える手がかりが得られる。
 生徒に指名して確認しながら、黒板にどんどん書き加えて整理していく。今回はプリントを作らず、黒板でまとめていこうと思っている。自分なりにノートに整理することが大切だと思うからね。
 最初にアンケートもしたので、読解作業は危惧した以上に遅れた。だが、まあ想定範囲内である。明日、次の授業があるので、ここでどれくらい進むことができるか、だね。