『獣の奏者 完結編』
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/11
- メディア: 単行本
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ジェシが狂った王獣と闘蛇たちの最中で音無し笛を吹こうとして、その意図にエリンが気づいて、代わりに行うわけだが、そのジェシの行動が「残った人々」から教えられたものであることにようやく気づいた。以前は、ジェシがとっさに取った行動かと思っていたのだが、今回じっくり読んで、「残った人々」がエサルやジェシに大災厄の正体とその解決法を伝えていたのだ、ということがわかった。
そして、前回の大災厄を収束させた人の名前が「リョザ」であるという。それならば、エリンは新たな「リョザ」の始祖になった、とも言えるのかもしれない。だが、当然最初の「リョザ」も狂乱する王獣たちの最中で音無し笛を吹いたわけで、ならば彼もそのために命を落としたことだろう。エリンは4日間とはいえ、命をつなぐことができた。それはイアルの献身的な救出行動によるわけだ。
ふーむ。今回は結末を知っているせいか、ずっと落ち着いて読めたなぁ。何しろ前回はエリンが死んだことにショックを受け、しばらくは何も考えられなかったものね。今回は落ち着いていた分、読み落としていたことに気づくことができたのだろう。