「鴻門之会」を終え、「枕草子」へ

 2組での授業。文系のこのクラスは進度が一番速い。今日で「鴻門之会」の、会見場へ樊噲が突入してくる場面を読み終えた。沛公が窮地を脱して外へ出るところまで読み、彼が自分の軍門へ帰還するところはさらりと触れるのみとする。これでしばらく項羽本紀は休止し、「枕草子」を読むことにする。項羽本紀は中間考査後に再開することになる。
 この「鴻門之会」では項羽と沛公の一触即発の危機的状況の中で、彼らふたりが何を思ったのか、そして周りの范増や樊噲らの活躍と心理とを丁寧に読み取らせたいと思っていた。そこで、折に触れて発問し、登場人物らの心情を考えさせ、話し合わせ、発表させてきた。今回は、樊噲の演説の後、項羽が何も答えずに「坐せよ」とのみ言った理由を考えさせ、また沛公がその後でこの場を逃れることができた理由について考えさせた。最初の項羽が何も答えられなかった理由については、生徒は的確に答えていた。だが、次の沛公が暗殺の危険のある場を逃れることができた点については考えが及ばなかったようだ。結局、樊噲の演説により、その気迫と正当な主張によって項羽が圧倒されたことによって、沛公の不利な立場が一気に逆転し、心理的に有利な立場に立つことができたからだろう。だから、彼が厠に行くという口実で席を立つことができたし、そのまま外へ出てしまうこともできたわけだ。この話では、きわめて激しい心理戦が展開されたことになる。そのあたりを読み取って欲しかったなぁ。
 さて、次は古文に戻る。「枕草子」より「二月つごもりごろに」の話を読む。「鴻門之会」とはうって変わって、清少納言の「われぼめ」と、それを支えた中宮定子への細やかな信頼を読むことになろう。