「鴻門之会」突入!

 久しぶりの授業である。2組での授業。今日から漢文に入る。扱うのは2年生漢文の定番にして最高傑作、『史記』より「鴻門之会」である。
 まずは『史記』と司馬遷の説明をする。でも、ここはなるべくさらりと流し、すぐに項羽本紀である、教科書本文の説明に移る。我々が扱うのは項羽の元に沛公が謝罪に来る場面からである。だが、そこに至るまでの経緯を便覧を使って説明し、さらに教科書(大修館書店はさすがに漢文教材と資料が充実している)の「項羽大怒」を読ませる。概略をくどくどと説明するより、まずは本文自体を読んで流れをつかむべきだと思うからだ。教員の説明など面白くも何ともない。司馬遷が2100年前に書いたその文章そのものを読ませることこそが、生徒の感受性を刺激するだろうと考える。そこで、教科書本文を音読した後、本文と書き下し文と口語訳の載ったプリントを配布し、話の内容をつかませる。そして、次の質問をする。

1.「項羽大怒」と2箇所書いてあるが、それぞれの理由となる部分に傍線を引け。
2.項羽の参謀である范増が「急撃勿失」と言って、項羽に沛公を撃つことを薦める理由となる部分に傍線を引け。

 1.の設問の1箇所目のところで懐王による約束、先に咸陽を平定した者を関中の王とするという約定を確認させ、2箇所目のところで曹無傷の讒言について確認をさせる。さらに、2.の設問で范増の考えを確認させる。以上の3点を抑えておけば、沛公が項王の元に謝罪に出向く「鴻門之会」の概要をつかむことができるだろう。
 その後で、教科書で言えば「沛公見項王」の箇所を音読練習させる。実は、このクラスは、明後日の日曜日に行われるPTA総会での授業公開に当たっている。そして、その授業公開においては「鴻門之会」の第2時を公開することになるのだ。授業公開では何をしようかと考えたのだが、いっそのこと「漢文の素読」をしようか、と考えている。何しろ漢文は音読が命である。すらすら読めるようになること、できればある程度文章を暗唱してしまうこと、それくらいをして始めて漢文訓読もできるし、口語訳もできるようになる。ならば、授業公開に合わせて、素読をやってみようと思ったのである。
 素読といっても、要は白文を生徒に渡し、それを見ながら音読練習を行わせるのである。そこで、今日は白文のプリントを生徒に渡し、さらに教科書本文の音読練習を行わせて、白文で読む練習をしてくるように、という宿題を課しておいた。
 さあ、明後日はどんな授業が展開できるかな? ちょっと楽しみである。