「孟子」の論理性にしびれる〜!

 10組での授業。「孟子」の3時間目である。やっぱりこの教材は3時間くらいかけないとまともには終わらないなぁ。8組はどうしよう?
 今日は「王道」の後半部分、孟子が王道政治を説くところを解釈する。まずは生徒に通釈を行わせ、その後で孟子の言う「人民を使役するのは冬期間にして、農作業の時期を違えないようにさせる」「目の細かい網を沼や池に入れないようにする」「斧やまさかりを持って、木を伐採するのに適切な時期に山林に入らせる」ことのそれぞれの意味を、隣の生徒と話し合わせて考えさせた。「目の細かい網」については、生徒の話し合いがなかなか活発に進み、面白かった。
 次に、これら「農作業の時期を違えない」「目の細かい網を入れない」「伐採するのに適切な時期にする」という3項目を孟子がなぜ挙げたのかを考えさせた。同様に隣の生徒同士、ペアで話し合わせる。最近はこの手法をよく使う。予想したように、生徒の話し合いはあまり活発化しない。そこで、孟子がこの次に何と書いているかに注目させる。孟子は「民が家族を養うこと」と「死者を厚く葬ること」と2点についてまとめている。そこで、「農作業」と「目の細かい網」は食糧を十分に与えさせることに対応することを指摘し、「伐採する」ことは死者を葬ることに対応することを指摘する。その後で、もう一度ペア学習でこれらの意味を考えさせる。そうすると、生徒はよく反応してくる。生徒に指名したところ、この木は「棺を作るためのもの」と気づいてくれる。そうそう、これを生徒自身に気づかせたかったのだよ。実は私も、同僚からの指摘ではたと気づいたのだ。その時の目の開かれようは実に新鮮だった。この感覚を生徒にも与えたかったのだ。そのためには、生徒に「よく分からない」という感覚を与えておき、次にヒントを与えることによって、気づいた時の「アハ!体験」を与えたかったのである。
 その後は一気に、性善説と王道政治との関連について説明し、そしてその孟子にとっての理想の政治と対照的に、恵王の政治がいかに不十分であるかを考えさせた。恵王の政治の問題点を2点指摘させたのである。これまたペア学習をさせる。生徒はよく気づいてくれた。「戦争を好むこと」と「凶作への対処はするが、そもそも凶作を起こさないようにし、民に衣食住を保証していないこと」とをきちんと指摘してくれた。後は、儒家における「礼」の意味についても話をしたかったが、まあそこまでは触れなかった。
 8組も授業があった。今日、ようやく「孟子」に入った。残りは後1時間。さて、どこまで説明しきれるやら。