木曾義仲の死に様について議論する!

 10組での授業。このクラスは何しろ授業時間が余っている。試験まで5時間もあるというのに、先日で「木曾の最期」を終わってしまった。そこで今日は、木曾義仲の死に様について自分はどう考えるかというテーマを設定し、考えを書かせ、それを交流させる授業を行った。
 最初に義仲の死に様について共通理解を持たせる。私が解説し、義仲は兼平への情愛の中に生きたと言えるが、兼平自身は義仲に名誉の死を遂げて欲しいと願っていたことを指摘する。つまり、義仲は「兼平への情愛」か「武士としての名誉の死」かを選択することとなり、「情愛」の方を選んだ、というわけだ。この二者択一の場面を確認して、生徒に「義仲はどうすべきだったか」、自分の意見とその理由を書かせた。
 その後、ポストイットを配り、そこに自分の名前を書かせる。黒板に原点を持つy軸−x軸のグラフ平面を描き、右は義仲への賛成を、左は反対と指定する。その中でも、積極的にそう思う方を上に、消極的だがそう思う方を下に指定する。そのx-y平面に自分の名前を書いたポストイットを貼って、自分は義仲の死に様についてどう思うか、意見表明をさせた。

 次々とポストイットを貼る生徒たち。

 完成。男子は緑色、女子はピンクのポストイットである。事前の予想とは大きく反して、義仲の判断への厳しい意見が目立つ。

 次に、友人へインタビューをさせた。黒板の図を参照して、自分と同意見、異なる意見の者を確認し、その意見と理由をインタビューさせた。
 最後に、そのインタビューをもとに、もう一度義仲の死に様について自分の意見をまとめさせた。
 いやぁ、面白かった。生徒の意見表明が思わぬ方向に進んで、私自身が考えさせられ、楽しかった。自分の意図とは違う意見表明がこうした形で明確に示されるのは非常に興味深い。
 最後に、当時の民衆は義仲らの死に対する「同情」(賛成とはちょっと違うね)の気持ちで、彼らのことを見ていたのだろう、と補足はしておいた。でも、生徒が意見を交流して得た考えはとても重要だと思う。この考えを持たせることも、立派な「読む力」である。