見違えるような反応の姿

 9組での授業。全体の7時間目である。
 まず、前回の話し合いでのレポートをまとめたものを配り、それに対してコメントをする。読みが深いものを取り上げているつもりなのだが、ここで実は教師の意図が働いてしまっている。私が誘導したいと思っている読みに添ったものが紹介され、さらにそれに対してコメントが加えられる。生徒にとって見れば私がある読み方に誘導しようとしているのは見え見えだろうなぁ。本人はあまりそんなつもりはなく、ただ友人の深い読みを紹介して、彼らの読みを活性化させようとしているだけなのだが。
 続いて主題について考えさせる。再び「下人が〜になる(する)物語」という形を示し、もう一度考えてみよう、と投げかけた。しばらくした後で隣同士で考えを確認させた。今回は数人の生徒に発表をさせた。生徒は「下人が悪の意味を知る物語」などと解答してくれた。3人ほどに指名したが、どれもが最初は「下人が盗人になる物語」だった。それが、「悪の意味を知る」というように深化してくれた。素晴らしい。
 その後「主題の探究」プリントを配り、私の読みを示して、その読みが成立するかどうかを確認させた。20分近くを生徒に与えたが、私はその間、CDラジカセを持ち込んで、BGMを流してあげた。リラックスをさせて、頭をフル回転してもらおう、というものである。流したCDはもちろんこれ!

ちょっと一人KOTO

ちょっと一人KOTO

 私のBGMの定番である。「赤いスイートピー」から始まる意外性と、琴によって奏でられる優しい響きとがあいまって、インパクト抜群である。
 もう何度もこのCDを他のクラスでもかけているが、このクラスは高い関心を持ってくれて、授業が終わった後にCDを確認しに来た生徒が何人もいた。いいでしょう〜。(^_^)
 その後、周囲の4人とグループを組ませて、お互いの考えを確認させる。この時の反応が意外であった。このクラスは前回も話し合いが停滞し、黙りこくったままのグループがいくつも見られた。しかし今回は、メンバーが違うせいか、BGMがかかっていて雰囲気が暖まっていたせいか、あるいは課題が取り組みやすかったせいか、非常に活発に話し合いを始めてくれた。もちろん、中には話し合いの進まないグループもあったが、ほとんどは話し合いが止まらなかった。10分間しか時間をとらなかったのだが、足りなかった。もったいないことをしたなぁ。
 最後に私が自分の考えを解説した。「若者らしい感傷的な下人が、したたかな大人になる」という枠組みを説明し、似た物語として「ゴッドファーザー」とか「ハリー・ポッター」などを挙げてみた。「ゴッドファーザー」は知らないと思ったが、後で回収したプリントを見ると、それを書いている生徒がいたので、ちょっとびっくり。「ハリー・ポッター」も多い。彼は酸いも甘いも味わった大人になったのかな。最後に「アナキン・スカイウォーカーがダースヴェーダーになる」例を挙げると、激しくうなずいた生徒がいた。ヒットしたかな。
 というわけで、9組には珍しい、活発な授業になった。