教育実習生の研究授業を見た

 3週目は中学校へ実習に行くので、今日で実習を終える実習生が一人いる。そこで今日、この実習生の研究授業があった。私の現代文の授業を見に来てくれた方である。英語の授業であった。なかなか熱心に実習に取り組んでいた方なので、研究授業を楽しみにして見に行った。
 結果、大変素晴らしい授業だった。実習生とは思えない堂々とした授業運びと、想定外の生徒の反応にも余裕を持って対応する姿は、ちょっとしたベテラン教師並みのものであった。
 これには、本校の英語科の授業システムも良い影響を与えているのだろう。ノート作りと予習のさせ方がシステム化されており、それに基づく授業運びができるようになっている。
 その中でもノート作りには感心した。本文をチャンクごとに区切ってノートの左ページに書写し、その脇に単語を書き出し、右ページには単語の意味、そしてチャンクの和訳を書かせている。従って、和訳は日本文としての語順にはなっておらず、チャンクごとの英語文のままの語順である。しかし、これは大変論理的である。日本文はこのチャンクごとの和訳を後で正しい語順に並べ替えればよいだけであり、むしろチャンクごとにしっかり和訳することで、内容を良く理解できる。これは古典でのノート作りにも応用できるなぁ。
 また、このようなノートを作ってくるので、授業は最初に音読をさせ、その後で隣の生徒同士で予習してきた内容を確認させている。そして、訳せなかったところは生徒同士で補うようにさせ、教師はそのペアごとに指名して、訳を大ざっぱに確認するだけである。うーむ、これはすごい。でも、予習をしてくるようにと予告してあるのだから、その予習内容を生徒同士で確認させて、それでも分からない箇所を教師が補うというスタイルの方が論理的、かつ効率的だ。これまた古典の授業に応用できる。
 さらに、今日の授業では前回の学習内容を活かして、二つの相対する立場を想定させ、隣同士で英語でディベートをさせていた。学習した内容を自分なりの英語で表現させるということと、そのやりとりを通してある英語表現の違いについて着目して欲しい、という意図を持っていた。私が「羅生門」の授業でマイクロ・ディベートを取り入れようかと考えついたのも、この授業を見学したことからインスパイアされたものだ。
 いやいや、良い授業だった。ヒントをたくさんもらった。教育実習生の授業からヒントをもらえるなんて、何とも贅沢な時間だった。