『天と地の守り人』第3部 新ヨゴ皇国編

軽装版 天と地の守り人<第3部>新ヨゴ皇国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

軽装版 天と地の守り人<第3部>新ヨゴ皇国編 (軽装版 偕成社ポッシュ)

 喉を痛めて養生している最中、とうとう読み終えてしまった。この「守り人」シリーズを読み始めてからおよそ2か月。10冊のシリーズを全て読み終えた。そして、この『天と地の守り人』は3部作。これまた勢いづいたように読み終えてしまった。
 第3部は、草兵にとられたタンダが戦場で傷つき倒れる場面、アスラとチキサが世話になっている人々が住む四路街の人々が逃げ出した後に炎上する場面、タルシュ帝国の軍隊が新ヨゴ皇国を蹂躙している最中に、チャグムがロタ王国とカンバル王国の軍勢を率いて帰還する場面、彼らの奮戦で二手に分かれていたタルシュ帝国の一翼が破られてしまう場面、チャグムが父帝と再会し、永遠の決別をする場面、さらにナユグの世界での異変の始まり、それによる河の氾濫、それらを予見し、予告する呪術師たちの働き、傷ついたタンダを助け、その愛しい左腕を自ら切り落とすバルサ、引き込まれたタルシュ軍との戦い、そこに起こる河の氾濫、などなどなど、もう息をもつがせぬ展開で、本から手を離すのが難しいほどだった。最後には、チャグムが新しい帝になり、バルサはタンダの待つ家へと帰る。まだまだ彼らの行く末について知りたいことはいくらでもあるのだが、それらを全て包み込んで、大いなる余韻を残して物語は終わった。
 うーむ、上橋菜穂子という人は自分の物語をこうした形で終わらせるのが上手だ。まだまだこれからのことを知りたい、という思いにさせる。その点、『獣の奏者』は、ふわりとした形で終わらない。ブツリ、とその想像の持っていきようをなくしてしまうのだからね。それに比べたら、この大きな物語の終わりは非常によいものである。
 さて、「守り人」シリーズを読み終えてしまった。次は何を読もうか。まだ、短編集やらはあるのだけれどね。もちろんそれは読むけれど、さて、次は何を読もうか。大きな物語を読み終えた後で、いつも悩むのはそのことだ。