『獣の奏者 III 探求編』

獣の奏者 (3)探求編

獣の奏者 (3)探求編

 読み終えました。何だか、だんだんスピードが速くなっていくような気がする。事実、少しスピードを上げて読んでいる。その方が、この物語世界の速度に乗り遅れないで付いていくことができるような気がするからだ。
 エリンが30歳になり、妻となり母となって、それでもなお降りかかる様々な思惑や災難にもかかわらず、懸命に真摯に生きていく姿が痛々しく素晴らしい。そして、それを支えるイアルも、大変に男らしい。
 しかし、前2作と比べて、エリンが危機に陥りかける時によりハラハラするようになった。彼女に、帰るべき家族がいることが明らかになっているからだろうか。物語はあえてその家族のことを、最初からは明確に描こうとしないが。
 ともあれ、相変わらず素晴らしい物語だ。あと残り1冊。残念でもあり、楽しみでもある。