「男鹿和雄展」に行ってきました


 待望の「男鹿和雄展」に、家族全員で行ってきた。この展覧会は9月くらいから行っていて、私はずーっと行きたいと思っていた。しかし、なかなか時間が取れず、予定していた日は別の要件でダメになったりして、ずっと行けなかったのだ。やっと今日、時間が取れて行くことができた。実は朝から鼻水がひどく、少々風邪を引いたらしくて体調は悪かったのだが、幸い動けないほどではないので、ちょっと無理して出かけた。
 展覧会期日間際の最後の休日だけあって、人出は凄かった。東京で見たフェルメール展ほどではないが、絵を観る順番を待って列ができているほどだ。しかし、その人気に匹敵する、素晴らしい展覧会だった。
 男鹿和雄と言えば、ジブリのアニメ映画の背景画を描いた人として有名である。今回、この展覧会を観て、もちろんそれだけではない彼の活動を理解できたのだが、やはり彼の真骨頂は「となりのトトロ」の背景画である。「トトロ」の後半では、1日の時間の経過が重要な要素を占める場面がある。サツキが行方不明になったメイの捜索に出かける場面だ。その際、夏の午後から夕方へ、そして夕暮れへと光の具合が変化する。その変化を表現するのが、当然背景画である。男鹿和雄の絵は、この時間の経過をものの見事に表現する。それと同時に、サツキの高まる不安と、だからこそトトロと出会うことによる一気呵成のカタルシスが効果的なのである。いやぁ、この絵はすごい。
 展覧会はさらに、「おもひでぽろぽろ」や「平成狸合戦ぽんぽこ」での彼の画業が紹介される。しかし、このあたりから、係員が終了時間が近づいたことを告げる。急いでこの先を観ることになる。「耳をすませば」や「猫の恩返し」などの作品が続く。この時期のあたりから、彼のジブリへの関わりは少し希薄になってきたようだ。そして、実は私が一番観たかった「もののけ姫」が続く。しかしここでも、彼の関わりはトトロほどではない。その後「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「ゲド戦記」「崖の上のポニョ」が続く。もうこのあたりは残念ながら駆け足だ。
 ということで、30分くらいで見終わるだろうと思っていたのはとんでもない間違いだった。子どもたちなどは、途中にあった「トトロの洞窟」のほぼ実物大模型に夢中になり、なかなかそこから離れなかった。彼らにとってジブリ映画は(特に「となりのトトロ」は)その隅々まで知っている作品だから、トトロの世界がより身近なのだろうね。
 結局1時間半くらいかかって、それでも少しも落ち着いて観ることはできずに、急ぎ足で出てきてしまった。うーむ、だいたい午後3時半頃から出かけようという根性がよくないのだよね。何はともあれ、素晴らしい展覧会だった。もう1度行ってもいいくらいだ。