「師説」の授業

 7組での授業。7組は8組より1時間分早く進んでいる。そこで、「師説」の音読練習をさせ、その後で内容読解に入る。
 まず、この「師説」は5段落で構成されている。最初に「古之学者、皆有師」とスタートするが、この「古の学ぶ者」というからには、筆者・韓愈の念頭にはこれと対照的な人物のことがあったはずである。そこで、他の段落から6人の人物たちを指摘し、それらの中からこの「古の学ぶ者」と対照的な関係になる者を生徒に考えさせ、選ばせた。
 いやぁ、8人くらいの生徒に指名したのだが、そうしたら、6つの選択肢のうち5つの答えが出てきた。おいおい、そんなにあるわけないじゃない。そこで、対照関係と言うことをもう一度確認して、「古の学ぶ者」と同じ関係にある者を探し、それと対照的になっている者を示してやった。はい、答えは2つだけです。そして、その2つのうち「士大夫」(=官職に就いている者:当時の為政者、権力者)こそがその具体的な人物であり、韓愈は彼らの「師」に対する態度を批判していることを確認させた。この文章はすぐれた政治批判・社会批判なのである。
 さらに、この文章は最後の第5段落が、韓愈がこの「師説」を書いた動機が示されている。そこで、今回はこの最後の5段落から口語訳を開始した。生徒は面食らっていたね。しかし、漢文はこのように結論や主張が最後に来るパターンが多い。それを確認するためにもよいのではないか。
 その第5段落で、韓愈の若い弟子が当時の時勢に流されずに師(すなわち韓愈)についてよく学んだことを誉め、この「師説」を書いたことを確認する。つまり、当時の為政者は「師」について学ぶことを軽視していたことがここから理解できる。
 ここまで全体の主題を確認した後で、第1段落に戻って口語訳を進めていく。ここまでやっておけば、後は句法を駆使して1文ずつ口語訳して行くのみだ。
 少々手こずり、口語訳はあまり進まなかったが、なかなか型破りな授業展開で、スリリングであった。