「浮舟」の授業

 4組での授業。浮舟の2首の和歌の部分からスタートする。2つの歌とその間に挟まれた地の文とを黒板に板書し、その流れを理解させて、誦経の鐘の音を浮舟がどんな気持ちで聞いていたかや、最初の歌に籠められた浮舟の切ない思いなどを理解させる。
 その話の中で、浮舟が自分が死ぬという覚悟を極めた場面で、そのことを知らせたいのは匂宮や薫にではなく、母親なのだった、ということを確認した。そこで生徒たちに、人が死ぬ時に思い浮かべるのは母親のことではないか、ということや、そこから彼らのこれからの人生において自死だけはしてはならない、「死んだらあかんぜよ」と話した。生徒はあまり私が真剣だとは思ってくれていなかったようだが、これは本当に大切なことである。高校を卒業させるにあたり、我々教師が生徒に伝えたい第1のことがこれである。「死ぬな!」、これがまず第1だ。
 自死ではないが、私が関わった卒業生(他校での生徒です)の中に、非常に若くして亡くなった者がいる。これはショックだった。ましてこれが自死などといったら、もう私はいても立ってもいられない。「死ぬな!」。真面目にそう訴えたい。現役生も卒業生諸君も、肝に銘じて欲しい。