講談社PR誌『本』の福岡伸一の文章「世界は分けても分からない」

 私は出入りの書店さんが置いていってくれる上記の連載を毎回楽しみに読んでいる。でも、読めなかった回があるからね。早く単行本にならないかな。
 福岡氏の筆致は、分子生物学会における科学者たちの人間ドラマをまるで今そこで展開されているかのように描写する。非常にリアルで、具体的で、面白く分かりやすい。本当にすごい文章力だ。と同時に、これだけの内実を氏はどのようにして入手できたのだろうか。氏がアメリカ在住中に経験した出来事、さらにその友人たちから聞いた話などがそのソースだろう。それにしてもこれだけの具体性を持って描けるのは、もちろん氏の想像力・文章力の賜物だが、同時に人的ネットワークの賜物でもあろう。
 今、氏の著作動的平衡』を読んでいる。最新作になるのかな。雑誌連載をまとめた本のようだが。これまたぐいぐいと惹き付けられる筆致である。私と氏とは非常に相性がいいらしい。

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか