夕顔の授業:男女の擦れ違いは古来変わらず?

 4組と2組での授業。4組は源氏が夕顔を連れ出して廃院に到着する場面まで進んでいる。2組はようやく「白妙の衣を打つ砧の音、……空を飛ぶ雁の声」の箇所までやってきた。
 4組の場面のテーマはズバリ、「男と女は擦れ違うものなのか?」である。ここは源氏と夕顔の贈答歌が収録されているが、その歌の内容が見事に擦れ違い。源氏は初めての恋のアバンチュールにドキドキものであるというのに、夕顔の方は一方的に連れ出されて不安でたまらない気持ちを訴える。これを見た源氏が「ふふっ、ウブな奴」と笑いなさる場面だ。かくまで男と女の気持ちは擦れ違うものなのか、ということを生徒に伝えるべく、これを今日のテーマとして最初に提示し、口語訳をしながら確認していく。
 その際に、我が家で今朝繰り広げられた夫婦げんかの一端を紹介したりして……。いやはや、教師は自分の身を切り売りしながら授業をしているようなものです。(^_^;)


 2組では「砧の音」を説明するのに、李白の「子夜呉歌」を紹介した。つくづく、いい詩だねぇ。そして、「空を飛ぶ雁の声」の箇所では、前の家で秋頃の夜中に聞いた雁の渡る声(あっ、あれはもしかしたら白鳥だったかもしれない……)を再現して見せた。このクラスでは受けてくれました。
 続く、壁の中のコオロギの音が耳に押し当てたように聞こえる、という場面で、これまたコオロギの再現をしようとして……、「ん!? コオロギってどんな音で鳴くんだっけ? まさか『コロコロ』?」と言ってしまって、生徒の失笑を買ってしまった。
 いやはや、こちらでも教師は自分のすべてをさらけ出して授業をしております。本当に、私の授業では自分の持っている知識から経験から、すべてを動員して生徒の目の前に並べている。端で見ていると楽しそうだろうなぁ〜。終わった後は、教務室でぐったりしているんだけれど。