『謎とき村上春樹』

謎とき村上春樹 (光文社新書)

謎とき村上春樹 (光文社新書)

 その新幹線の中で読み終えてしまった本。石原千秋氏による、村上春樹の初期作品(『風の歌を聴け』から『ノルウェイの森』まで)の読み取りである。石原千秋といえば、昨年末に読んだ漱石の『こころ』の読み取りの素晴らしさが記憶に残り、彼が村上春樹を読むとどうなるのかと思って、この本を楽しみに読んだ。
 初期の5作品を読んでいるのだが、どれもなかなか興味深い読み取りである。「そうか、そうだったのか」と思わせることもたくさんあり、大変面白かった。できれば『ダンス・ダンス・ダンス』まで扱って欲しかったなぁ。鼠を巡って記述される小説としては『ダンス・ダンス・ダンス』が最後だからね。
 石原千秋は小説の読み取りにさまざまな哲学的・社会学的知見を援用する。それらの補助知識の中で参考になるものが多かった。これも使えそうである。