冬期講習スタート

 今日から冬期講習がスタートした。今回は曜日の関係で、土曜日までの4日間である。私は今回は現代文の講座を担当する。土曜講習と引き続いての担当であり、内容も連続している。
 今回の冬期講習で生徒に取り組ませたいのは以下の3つである。

  1. 評論文の背景にある社会情勢の知識を身につけさせること
  2. 評論文の読解方法について知識を得ること
  3. 以上2点について習熟すること

 評論文の読解においては、何はともあれその文章が扱っている分野についての社会情勢を知っている必要がある。そして、その歴史的背景についても考えが及んでほしい。
 今日扱った評論はそうしたことを考えさせるのには大変適するものであった。大澤真幸の「コミュニケーションに未来はあるか」という問題文である(『テーマ別攻略 現代の評論』桐原書店刊 を使用)。この文章はいきなり「近代的な権力」という言葉が出てきて、後はそれに対応するメディアである新聞の特質、そして現代では電子メディアが新聞の担っていた役割をさらに推し進めている、と叙述が続く。そして、その電子メディアが民主主義を推し進めるものであるのに、逆に民主主義を危機に陥れている、という論へと進むものだ。
 この背景には前近代の絶対主義・君主制というものがあるだろう。そこから民主主義へと発展してきたのに、電子メディアはその民主主義をかつての絶対主義的なものへと陥れているという流れが見て取れる。その絶対主義・君主制という、本文には書かれていない内容を想定できるかどうかで、この文章を理解度は決まると思うのだ。
 そこで生徒には「近代批判形式」を当てはめるべきことを説明するときに、前近代についての内容が本文では省略される場合があることを指摘した。そして文章を読むときには常に二項対立の図式を想定して、何と何とが筆者によって対置されているのかを考えながら読むように、と口を酸っぱくして言っている。
 今回の講習で、生徒が二項対立の図式をマスターできれば、もう御の字である。