「こころ」の授業

 今日の昼休み、「こころ」の文庫本を販売した。事前に生徒から注文を取っておき、業者の方にお願いして販売してもらった。130冊ほど売れたようだ。私が指定したのはちくま文庫。使っている教科書も筑摩書房だし、何よりこの文庫は小森陽一氏の論文が載っているので、よろしい。

こころ (ちくま文庫)

こころ (ちくま文庫)


 さて、4組での授業。研究作業の3時間目。研究レポートを提出してもらう、最終回である。
 生徒には以下のプリントを配布して、今日の作業について説明した。

 生徒に一番注目して欲しかった点は、「再検討をする際に、自分たちの解釈が小説全体から矛盾がないかどうか確認すること」と「解釈がグループ内で割れた時は話し合って1つに絞ること」の2点である。生徒たちのメモをチェックしていて、小説全体から部分を考えるという視点が足りないなと感じたので、そのことを指示した。また、グループで話し合うことの要は、解釈が割れた時にテクストを根拠にして相手を説得することである。その話し合いによって解釈はより高度なものへと上がっていくことだろう。
 プリントによって作業の説明をした後、研究メモを提出したグループを呼んで、私のチェックについて説明しながらメモを返した。良い読み取りをしている箇所を誉め、さらに深く読んで欲しいところやもう一度読み直して欲しいところを説明した。生徒たちはグループ全員で私の説明を聞いたりして、早速話し合いに入っていった。
 今回はグループでの話し合いに私が少々頭をつっこんだりした。Kがお嬢さんへの恋を私に説明した後、奥さんとお嬢さんとが帰ってきて、お嬢さんがKに話しかける場面がある。お嬢さんは何故「K」に話しかけるのかを考えさせたグループに、お嬢さんは私の方を好きなことが読み取れる箇所を指摘して、その上でお嬢さんの「策略家」としての姿を読み取らせようとしてみた。彼らは「二股かけていたの?」とか言っていたが、そうそう、そんな読みが可能なのだよ。
 生徒にメモを返しながら、生徒と小説の読みについて話をするのは楽しいな、と思った。彼らの読みの鋭さを実感しつつ、私の読みも少しヒントにして出す。こうして読みはお互いが高まっていくのだね。