『プリオン説はほんとうか?』『もう牛を食べても安心か』『脳を活かす仕事術』
プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)
- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/11/20
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- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『プリオン説』と『もう牛を』には重なる記述も多数ある。しかし、『プリオン説』の方は、狂牛病の原因として提案され、ノーベル賞まで取ったプリオン説に対する反証の試みである。また『もう牛を』の方は、シェーンハイマーの生物の動的平衡論を踏まえて、生物がタンパク質をとり続けなければならない理由や、消化の生物学的意義や、記憶の保持などの話題をふんだんに紹介しつつ、狂牛病に対する日本政府の対応への批判を展開している。
ヒット作となった『生物と無生物のあいだ』は、シェーンハイマーの動的平衡論と、生物の自己複製についての話題を展開して、生物のあり方について論じたものである。氏の3冊は、基本的な考えの部分は同様の記述が使い回しされているものの、3冊のテーマはまったく独自であり、大変興味深いものであった。
何しろ素晴らしいのがその文体である。科学者らしい精緻な論述と同時に、文学的な雰囲気も醸し出している。独特の、きわめて読みやすい文体だ。こういう文章こそ「評論文」として教材化できるものだ。
『脳を活かす』の方は、O先生が紹介していたものをblogで読んで、それで読んでみた本。茂木氏らしい内容と、所々にはっとさせられる部分もあり、なかなかよかった。