評論の授業

 9組での2時間目。他の2クラスでの経験を生かし、生徒の図示を用いながら文章構造の確認を行う。
 最初に第1段落の問題提起を確認する。この川田順造の文章の問題提起とは次のようなものだ。

ことばや習俗の異なる社会の観察と記録を行う際に生じる問題

今回はまずこの問題提起を確認し、そして、この問題提起に対して筆者の見解が述べられている段落、つまり筆者の主張が述べられている段落はどこか、と問うてみた。
 そうしたら驚いたことに、生徒の中から2段落という答えが出てきたのだ。もちろん4、8,9,11などの段落も上がった。6人の生徒に聞いてみたのだが、最初の生徒から2段落が上がったのには驚いた。他の2クラスではまず2段落という答えは出てこなかった。
 うーむ、このクラスが特殊なのだろうか。確かにこのクラスは先に行われた実力テストで、国語のクラス平均点が学年トップである。しかも他のクラスを引き離して、3ケタ台の平均点だった(200点満点です)。あるいは、問題提起をきちんと確認し、それに対する筆者の見解が述べられている段落を探す、という目標設定が明確だったからだろうか。
 他の2クラスでは「この文章で一番大事な段落、筆者の主張が一番良く表れている段落はどこか」というような問い方をした。これでは探し方が不正確になるのだろうか。うーむ、確かに今日行った問い方のほうが探しやすいかも知れない。でも、「一番大事な段落」という問い方だって決して悪くないと思うけれどなぁ。
 ともあれ、核心が明確になったので、次には「頭括式」「尾括式」「双括式」の3形式を紹介し、この文章がどれに当たるか問うてみた。これまた「双括式」と答えた者が3名、「尾括式」と答えた者が4名いた。うーむ、これまた驚きである。双括式と気づいている者が半数近くいるなんて。すごいクラスだ。
 そこで、後は双括式であると言える理由を説明しつつ、全体の文章構成を概観する。そして、「主観」と「対象」が一致しないという関係を文章全体のさまざまな箇所から見つけ出す作業に入らせる。
 いやぁ、今までの2クラスとはずいぶん違った感触を得た。おかげで私の説明もだいぶやりやすかった。この授業は同僚が見学していたのだが、彼にも参考になっただろうと思う。